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11月17日は将棋の日 『しおんの王』を読もう! 【きょうのマンガ】

2015/11/17


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

11月17日は将棋の日。本日読むべきマンガは……。


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『しおんの王』第1巻
かとりまさる(作) 安藤慈朗(画) 講談社 ¥543+税


11月17日は「将棋の日」。
これは日本将棋連盟が定めた記念日で、『暴れん坊将軍』でおなじみの徳川八代目将軍・吉宗が、毎年旧暦の11月17日を「御城将棋の日」として、御城将棋をさせていたことにちなむもの。
『暴れん坊将軍』ではガトリング砲などの西洋兵器や宇宙から飛来する彗星など、どんなことにもくわしい吉宗ですが、思いっきりフィクションの匂いのするそれらとは違い、将棋好きであったのは史実とされています。

『暴れん坊将軍』のことはまた別の機会があれば書くとして(まぁ、たぶんありませんが……)、本日は将棋の話。

じつを言えば、去年の「きょうのマンガ」でも「将棋の日」はピックアップしているが、将棋マンガは1回の紹介で終わるほど少なくない! 少し前には『3月のライオン』のアニメ化&実写化が発表されたし、新たに「週刊少年ジャンプ」で『ものの歩』という将棋マンガの連載がスタートするなど、なにげに最近HOTな将棋マンガというジャンル。
なので、基本的には昨年と違う記念日をチョイスしている当コーナーですが、本日はあえてふたたびの「将棋の日」。断じてネタ切れではありません!!

前置きが長くなったが、数ある将棋マンガのなかから、今回紹介しておきたいのが『しおんの王』。
数年前にアニメ化もされたのでご存じの人も多いことと思うが、女流棋士を中心としたプロ将棋の世界と殺人事件を絡めて描く、このジャンルではかなり異色の作品。しかし、これが「将棋とサスペンス、どっちつかずのハンパな作品」などでは決してなく、むしろハンパなくおもしろい!

あらためてあらすじを紹介しておくと、幼い頃に両親を殺害された主人公の安岡紫音(やすおか・しおん)は、そのショックで失語症となりながらも、プロ棋士である養父のもと将棋の才能を伸ばし、わずか12歳で史上最年少の女流棋士に。
そしてライバルたちとの対局でさらに実力をみがくなか、犯人からの執拗な粘着、さらには大人たちの様々な思惑が交錯していく──といったストーリー。

「指紋が残された王将の駒」という遺留品によって、おそらく犯人も将棋関係者であろうと予想されるサスペンス要素がまず興味を引くが、さらに作中において男女・プロ・アマ問わずだれでも参加自由というトーナメントが開催されることにより、立場を超えたマッチメイクが成立するのもすばらしい。

単行本は全8巻だが、本当に一気読みしてしまうほどグイグイくる展開なので、未読の人はぜひご一読を。

なお、原作としてクレジットされている「かとりまさる」とは、元女流棋士である林葉直子のペンネーム。
実際に女流棋士として活躍していた経験と知識に、かとりまさる名義で何作もライトノベルを執筆している手腕が加わり、エンタメとして絶妙な落としどころの作品に仕上がっている。
しかも単行本では、作中の対局についてのしっかりとした解説もされており、意外と対局については雰囲気で流される将棋マンガが多いなか、これは貴重!

もしかすると彼女がプライベートのほうでいろいろ騒動があったせいでなにやら先入観を持ってる人もいるかもしれませんが、本作のおもしろさはホンモノですので!



<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。

単行本情報

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