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『「あの商店街の、本屋の、小さな奥さんのお話。」初恋本屋。』 高橋しん 【日刊マンガガイド】

2015/12/06


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『「あの商店街の、本屋の、小さな奥さんのお話。」初恋本屋。』


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『「あの商店街の、本屋の、小さな奥さんのお話。」初恋本屋。』
高橋しん 白泉社 ¥660+税
(2015年11月5日発売)


『いいひと。』『最終兵器彼女』で知られる高橋しんの作品『あの商店街の、本屋の、小さな奥さんのお話。』

終戦から約10年……日本がまだまだ食べていくだけで精一杯だった頃、とある商店街で開店した小さな本屋。
ところが直後に店の主人が亡くなり、嫁いできてわずか1週間ほどの小さな奥さんが、たったひとりで店を切りもりすることに。
向かいの八百屋の次男坊で、亡くなった旦那さんの親友だった主人公は世間知らずの彼女に振りまわされっぱなしで……とフォーマット的には、若くて小さな未亡人が奥さんが本屋経営に奮闘する下町人情ものに見える本作。

けれど、彼女ときたらいろんな事情から料理も知らないレベルの世間知らずであって、その努力の方向が斜め上にぶっ飛びすぎている。
わざわざ本を手で売って歩くとか、商店街の軒先で本を置いてもらうとか、あげくのはてに商店街の人それぞれに向けての専用の棚を作るとか(人力Amazonリコメンド?)……もちろん、何も知らないゆえ盛大にトラブルも起こすのだけど、持ち前の健気さで強引になんとかしてしまう(なってしまう?)。

とにかく、ハートフルとか、人情とか、心温まる、とか奥さんかわいい……なんて紋切り型ではとても回収できず、小さな奥さんのむきだしの一途さが、時速150キロでまっすぐ飛んでくるような作品で、受けとめるこっちも相応の気合がいる。この感覚は高橋しんのマンガならではだ。

本作『初恋本屋。』はその続編で、4編からなるオムニバス。
前作に登場した悪ガキの成長や、本屋誕生の前日譚などが読める。2本目の本屋VS図書館の話は「本が売れないのは図書館のせい?」なんて議論がされている今、じつにタイムリーなテーマで、両者の目指すべき場所の違いが描かれる。



<文・前島賢>
82年生、SF、ライトノベルを中心に活動するライター。朝日新聞にて書評欄「エンタメ for around 20」を担当中。
Twitter:@maezimas

単行本情報

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