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『ひとり暮らしのOLを描きました』第1巻 黒川依 【日刊マンガガイド】

2015/12/15


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『ひとり暮らしのOLを描きました』


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『ひとり暮らしのOLを描きました』第1巻
黒川依 徳間書店 ¥920+税
(2015年11月20日発売)


ひとり暮らしの名もなきOLの日常を描いたイラストがツイッターで大反響を呼び、今年7月より「WEBコミックぜにょん」にて連載化、早くもコミックスリリースの運びとなった要注目作品。
著者の黒川依は本作がデビュー。黒川竜浩名義でイラストレーターとしても活動中だ。

ゴミ袋の山ができてしまう、洗濯ものをためてしまう、蛍光灯を買い忘れてしまう……。
20代前半と思しき黒髪の地味系OLが、19.2平方メートルのワンルーム(家賃6万2000円)で、ひたすら孤独をかみしめ、小さな不幸にさめざめと涙を流す姿が、ショートショートでこれでもかと描かれる。

ひとり暮らし×ひとり上手系マンガでは『カラスヤサトシ』が筆頭だが、このOLもトランプタワーを建築したり、プラ板で遊んだり、バランスボールでエクササイズをしてみたりと、さまざまな行為をためしてみる。
だが、あまりにも不器用でことごとく失敗し、うつろな目になってしまうのだ。

そんなOLのいたいけな姿がキュートすぎて、思わず笑ってしまう。
だが、ひとしきり笑ったあとにはちょっぴりせつない気分になるという、複雑な味わいを秘めている。

サイレントマンガということもあり、その魅力は海外にも伝播、タイや台湾でも評判を呼んでいるとのこと。
なるほど、この不憫かわいさはワールドワイドだ。世界中の独身労働者が「あるある」とうなずいていることだろう。

家に帰ると数時間ボーっとしてしまうアナタ、気がついたら1カ月が過ぎているアナタ、休日になんの予定も入っていないアナタ、そして月曜日が大嫌いなアナタにぜひとも読んでほしい、いやしの絵巻だ。



<文・奈良崎コロスケ>
中野ブロードウェイの真横に在住し「まんだらけ」と「明屋書店」と「タコシェ」を書庫がわりにしているライター。著書に『ミミスマ―隣の会話に耳をすませば』(宝島社)

単行本情報

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