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『椿町ロンリープラネット』第2巻 やまもり三香 【日刊マンガガイド】

2015/12/20


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『椿町ロンリープラネット』


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『椿町ロンリープラネット』第2巻
やまもり三香 集英社 ¥400+税
(2015年11月25日発売)


筆者の人生で少女マンガの目覚めは、恋のお話ではなくギャグや友情の物語だった。
どんなにカッコイイ男の子が登場しても、どんなに胸がきゅんとする(であろう)エピソードでも、そこに熱中する子ども時代ではなかった。

だが、大人になってから、しかも30歳を超えてから除々に「少女マンガにおける恋愛のトキメキ」に目覚めつつある自分がいる。

『椿町ロンリープラネット』は若き売れっ子小説家・木曳野暁(きびの・あかつき)と、父親の借金のせいで暁の家で住みこみ家政婦をすることになった貧乏な女子高生・大野ふみの共同生活から始まるラブストーリーだ。
突然の同居、そこから除々に距離感が縮まり関係性が変化していくのはこれまでの少女マンガにもあった筋書きかもしれないが、ふみと暁の関係はどこか老夫婦っぽい。

暁はふみのことを名前ではなく「娘」と呼び、つっけんどんな態度で、どことなく武士のような雰囲気が漂う。ふみは暁を「先生」と呼んで家政婦として料理など家事をこなし、控えめな性格。
ストーリー的には2人の関係性の発展はまだまだこれからなのに、すでに長年連れ添った夫婦のよう。
しかも、現代の夫婦ではなく古く懐かしい明治や大正、昭和初期のイメージだ。

暁は女がついていきたくなるような男前で、ふみは控えめながらものごとを悲観しない肝の据わったところも。
ひたすら男性の庇護下にあろうとするのではなく、じつは能動的なところもある、絶妙なバランス。

この、ある意味で完成された2人の構図に、トキメキ初心者は安心して読み進められる。
きっと筆者が求めていたのはあれもこれも要素が上乗せされた恋愛物語ではなく、こうしてシンプルながらも計算された味わいのトキメキだったのだと気づかされた。



<文・川俣綾加>
フリーライター、福岡出身。
デザイン・マンガ・アニメ関連の紙媒体・ウェブや、「マンガナイト」などで活動中。
著書に『ビジュアルとキャッチで魅せるPOPの見本帳』、写真集『小雪の怒ってなどいない!!』(岡田モフリシャス名義)。
ブログ「自分です。」

単行本情報

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