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『ど根性ガエルの娘』第1巻 大月悠祐子 【日刊マンガガイド】

2016/01/04


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『ど根性ガエルの娘』


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『ど根性ガエルの娘』第1巻
大月悠祐子 KADOKAWA ¥1,000+税
(2015年11月26日発売)


1970年に「週刊少年ジャンプ」で発表され、国民的ヒット作となった『ど根性ガエル』
著者である吉沢やすみは人気漫画家となるが、連載終了後は極度のスランプに陥り次第に追い詰められていく。仕事の放棄、ギャンブル、膨らむ借金。それを献身的に支える妻、幼い子どもたち……。

漫画家であり父親である吉沢やすみと家族の姿を描いた大月悠祐子の『ど根性ガエルの娘』は、2015年に発表されたマンガのなかでも衝撃的な作品のひとつだ。

まず伝えたいのは、かわいい絵のテイストとは裏腹に、非常に重たいエピソードだということ。
気軽な気持ちで読み進められる作品ではない。読めば心がずしんと重たくなる話だが、ギャグやユーモアに逃げない姿勢にこそ価値がある。

もしもこの物語を吉沢やすみが描いていたら、吾妻ひでおの『失踪日記』のように淡々としていてどこかのんきな空気が漂う作品になっていたのではないだろうか。
本人が描くか、家族が描くかの違いはとても大きいが、作品のトーンとして『ど根性ガエルの娘』も笑えるようテンポとノリで見せるという方向性も十分にありえた。

それをせず真っ向から描くことに、著者自身の痛みが存在しないわけがない。

1巻では、吉沢やすみの転落ぶりがメインに描かれているが、さらに重たく、掌打のような衝撃があるのはその続きからだろう。
ギャンブルや借金エピソードは序章であり、そこから家族がどう再生してくのかが見どころになる。

だがこの作品は、家族がどう救われていったのかだけを見る作品ではない。

これだけの出来事が過去にありながら、今現在何のわだかまりもなしに、痛みもなしにいられるとは思えない。今でも整理できないものがあるかもしれない。それでも、やっぱり描いてみようと思った。
それがマンガのもっとも注視すべきところだ。

大月がこの作品を描くことによって漫画家としてどんな変化をとげていくかが、一番の注目だと思うのだ。



<文・川俣綾加>
フリーライター、福岡出身。
デザイン・マンガ・アニメ関連の紙媒体・ウェブや、「マンガナイト」などで活動中。
著書に『ビジュアルとキャッチで魅せるPOPの見本帳』、写真集『小雪の怒ってなどいない!!』(岡田モフリシャス名義)。
ブログ「自分です。」

単行本情報

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