日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい！WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー！

今回紹介するのは、『ひとはけの虹』

『ひとはけの虹』第2巻
Cuvie 講談社 ￥650+税
（2015年12月9日発売）

カラヴァッジョにベラスケス、レオナルド・ダヴィンチに、切り裂きジャックの正体説もささやかれたシッカートなど、様々な時代に生きた画家たちを主人公に、「女体の美しさ」に魅了され、それをキャンバスの上に再現しようとする美の探求者たちと、彼らのモデルとなった女性たちを描くエロスあふれる連作短編集が、『ひとはけの虹』だ。

著者のCuvieは一般向けと成年向けの両方で活躍する女性漫画家。
女体という美に取り憑かれたような画家たちと、その探求の対象となることで変わりゆく女性たちが交差する物語は、女性の裸の美しさを描く漫画家であり、そして描かれる側の女性でもあるという両方の立場を知る者だからこそ紡げたものではないか。

次はどんな画家が登場するかが楽しみだが、くわえて、この最新2巻では、各時代に狂言回しとして登場するラファエロの背景が明かされ、時間SFとしての側面も見えきた。
そちらにも期待していきたい。

＜文・前島賢＞
82年生、SF、ライトノベルを中心に活動するライター。朝日新聞にて書評欄「エンタメ for around 20」を担当中。
Twitter:@maezimas