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『アルボスアニマ』第2巻 橋本花鳥 【日刊マンガガイド】

2016/01/17


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『アルボスアニマ』


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『アルボスアニマ』第2巻
橋本花鳥 徳間書店 ¥620+税
(2015年12月12日発売)


人外娘、アイドル、ヒューマンドラマなど色の濃い作品を掲載している「月刊COMICリュウ」。そんな「COMICリュウ」で最近は正統派冒険譚の存在感が増している。
空に浮かぶ陸で人々が生きる世界での少年少女の冒険を描いた『あせびと空世界の冒険者』に並ぶ、異色の冒険物語が『アルボスアニマ』である。

『アルボスアニマ』の舞台は19世紀。
植物の根から記憶をたどることができる「起源追想」という能力をもつ植物採集家のノア、元海賊で助手かつ護衛のラジャード、故郷を燃やされたことで植物採集家に復讐を誓うようになった少女・イヴ。
それぞれの生い立ちをもつ彼らが、ディーバ商会からの依頼を受け森に海にと希少な植物を求め世界をめぐる植物採集譚だ。

プラントハンティングを題材にした作品は真新しい。こうした作品の難しさは、植物の知識、採集の歴史・方法など多方面で説得力が必要なことだ。
ふんわりと植物集めて冒険していく……では、いっきに世界観が損なわれてしまうことだろう。

この作品では、端々の説得力から史実に基づいて物語を構成しているのが伝わってくる。
その説得力をもっとも楽しめるのが、単行本巻末の「ディーバ商会採集目録」。
史実メモを読んでからもう一度本編を読むと、小物の描写も丹念に行っているのがもっとわかるはず。

好評を博した橋本花鳥のWEBマンガ『虫籠のカガステル』はフランスで発売され、日本でも単行本化が決定した。
『アルボスアニマ』も『虫籠のカガステル』も、橋本花鳥の作家性が存分に発揮されている。



<文・川俣綾加>
フリーライター、福岡出身。
デザイン・マンガ・アニメ関連の紙媒体・ウェブや、「マンガナイト」などで活動中。
著書に『ビジュアルとキャッチで魅せるPOPの見本帳』、写真集『小雪の怒ってなどいない!!』(岡田モフリシャス名義)。
ブログ「自分です。」

単行本情報

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