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【日刊マンガガイド】『Happy Birthday 大丈夫、生まれておいで -「光とともに…」が遺したもの-』 河崎芽衣

2014/07/03


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『Happy Birthday 大丈夫、生まれておいで -「光とともに…」が遺したもの-』
河崎芽衣 秋田書店 \972
(2014年6月16日発売)


よく聞く病名ほど、なんとなく知っているつもりで、じつはまったく勘違いしていることがある。その誤解が直接的に、またはじわじわとだれかを傷つけていることも……。

自閉症は先天的な脳の機能障害だが、いまだに虐待や過保護など、親の育て方に原因があるように誤解されがちだ。
月刊誌「フォアミセス」で長期にわたり連載されていた、戸部けいこ『光とともに… -自閉症児を抱えて-』は、綿密な取材に基づいて描かれた、自閉症児を持つ家族の物語である。
多くの読者に自閉症の基礎知識を広めるとともに、周囲が病気についての理解を持つ重要性を訴えた作品だ。
篠原涼子主演でテレビドラマ化もされ、多くの人に支持されたが、残念なことには、2010年、作者の逝去により未完に終わっている。

その遺志を継ぐ形で立ち上がったのが、“「光とともに…」が遺したもの”シリーズだ。
障害者の就労支援と、知的障害者のスポーツ・リクリエーションの環境作りをテーマにした2作に続いて発表された、本作『Happy Birthday 大丈夫、生まれておいで -「光とともに…」が遺したもの-』は、ダウン症児を抱える家族の物語。

1000人に1人の確率で生まれる可能性があるというダウン症は、染色体の突然変異による先天性疾患だ。
待望の第2子・悠人がダウン症児だと診断された母親が事実を受け止め、向き合っていく……本当にそうした気持ちになれるまでの逡巡が胸に迫る。夫と、悠人の幼い姉・凛との4人家族の絆が、母をしっかりと支える姿を、祈るような気持ちで読むことができる。

家族の愛をたっぷりと受け、悠人は素直な青年に育っていく。
後半は「就労編」として、悠人が自らやりたい仕事を見つけ、壁にぶつかりながらも社会人として新たな一歩を踏み出すまでが描かれる。
「ぼくは仕事が好きです。ぼくは社会の一員です」と胸を張る悠人のなんとまぶしいことか。

わたしたちが障害や病気について理解しようとするかどうかで、当事者の人生がどれほど違ったものになるかを、改めて考えさせられた。



<文・粟生こずえ>
雑食系編集者&ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
ド少女文庫

単行本情報

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