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『僕たちがやりました』第3巻 金城宗幸(作) 荒木光(画) 【日刊マンガガイド】

2016/02/04


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『僕たちがやりました』


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『僕たちがやりました』第3巻
金城宗幸(作) 荒木光(画) 講談社 ¥565+税
(2016年1月6日発売)


ぬるま湯どっぷりの日常を謳歌していたのに、ヤンキーの巣窟・矢波(やば)高の連中にからまれたことをきっかけに、うっかり死傷者多数の爆破事件を起こしてしまった凡下(ぼけ)高校のトビオ、マル、伊佐美、そしてボンボンOBのパイセン。
すでにお縄となったパイセンからもらった300万円をたよりに、トビオたちの逃亡生活がスタートした。

思わぬ事件を起こして逃亡するハメに……というのはサスペンスモノの定番ではあるが、本作の場合、主役がパープリンの男子高校生という点がキモ。
人の命を10人も奪ったのに、どいつもこいつも保身のことしか考えない。しかも300万もの大金を手にしたことで万能感が生まれ、「やりたいことをかたっぱしからやってやろう!」と現実逃避に転がり始めるのだ。

ファミチキを吐くまで食べる、銃を撃つ、クルーザーでカジキを釣る……いろいろと夢はあるが、男子高校生のやりたいことランキング上位といえば、なんといってもエロ方面。
おっパブを初体験したトビオとマルは、潜伏先のマンガ喫茶でハズレのないソープランドを検索しながら大はしゃぎ。そこには、たくさんの人を殺した罪の意識などみじんも見当たらない。

こうしたクソガキならではの短絡さを見ると、中学1年生の男子が車上荒らしで預金通帳と印鑑を盗み出し、1620万円を引き出して豪華ホテルに宿泊、キャバレーや風俗で豪遊し、1カ月で600万円を散財した1983年の事件を思い出す。
この衝撃的な事件は1985年に岡本健一が主演したドラマ『サーティーン・ボーイ 僕は札束中学生』のモチーフにもなったほどだ。

トビオたちの能天気な逃亡生活はほどなく破綻し、各々追いつめられていくことになる。
その過程で彼らが何を考え、何に気づき、どう幕引きを図るのか――。
タイトルのセリフに行きつくまでに、まだまだひと波乱もふた波乱もありそうだ。



<文・奈良崎コロスケ>
マンガと映画とギャンブルの3本立てライター。中野ブロードウェイの真横に在住し「まんだらけ」と「明屋書店」と「タコシェ」を書庫がわりにしている。著書に『ミミスマ―隣の会話に耳をすませば』(宝島社)『ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE』(2月13日公開)のパンフレットに参加しております。

単行本情報

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