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『響 ~小説家になる方法~』第3巻 柳本光晴 【日刊マンガガイド】

2016/02/05


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『響 ~小説家になる方法~』


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『響 ~小説家になる方法~』第3巻
柳本光晴 小学館 ¥552+税
(2015年12月28日発売)


圧倒的な文才を持つ15歳の少女が出現したら、文壇は、出版界は、世間はどんな反応を見せるのか?

前巻のラストで嫌味な芥川賞作家・鬼島仁の顔面に、強烈なミドルキックをお見舞いした響こそ、その少女だ。
ねちっこく絡まれていた親友のリカを助けるための行動とはいえ、言葉より先に脚が出るあたり、あいかわらず無茶苦茶だ。

当然ながら怒り心頭の鬼島だったが、響の小説を読んで衝撃を受ける。
そして再び響と顔を合わせた際は、作家としての心をボキボキに折られるほどの壮絶な返り討ちに……。

その鬼島と対談をしていた、もうひとりの芥川賞作家・吉野桔梗。街を歩けばゴリラ呼ばわりされる、ゴツくて不器量な彼女の心は乙女の極み。
そんな吉野と原宿でバッタリ出くわした響は、著作に対するリスペクトを贈るとともに、「あなたはどうして小説家になったの?」と素朴な疑問をぶつける。鬼島や吉野のような芥川賞作家と矢継ぎ早に出会ったことで、響の中に小説家という職業についての疑念が浮かび始めたのだ。

プロは命をかけて小説を書いているのか?
書きたいものがなくなっても生きる意味があるのか?
響と出会ったことで、小説家たちはあらためて自己と向きあうことになる。

すったもんだがありつつも、あっさりと老舗文芸誌「木蓮」の新人賞をゲットしちゃいそうな響。
こうしたタテ軸の一方で、文芸部のメンバーによるヨコ軸の青春物語が展開されるのも楽しい。

響の保護者的存在であるリョータのストーカー気質がさらされ、湘南合宿ではヤンキーのタカヤとキョドり系女子の花代子がまさかの急接近。
作家デビューが決まったリカは、これまで抑えていた響へのライバル心をむき出しにする。

傍若無人な天才少女が周囲を巻きこみつつ、文壇へ(文字どおりの)殴りこみ寸前。
周囲の関係性も激変しそうな次巻は波乱必至だ。



<文・奈良崎コロスケ>
マンガと映画とギャンブルの3本立てライター。中野ブロードウェイの真横に在住し「まんだらけ」と「明屋書店」と「タコシェ」を書庫がわりにしている。著書に『ミミスマ―隣の会話に耳をすませば』(宝島社)『ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE』(2月13日公開)のパンフレットに参加しております。

単行本情報

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