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『機巧童子ULTIMO』第12巻 スタン・リー(作) 武井宏之(画) 【日刊マンガガイド】

2016/02/11


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『機巧童子ULTIMO』


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『機巧(カラクリ)童子ULTIMO』第12巻
スタン・リー(作) 武井宏之(画) 集英社 ¥480+税
(2015年12月4日発売)


マーベル・コミックのマンガ原作者として『スパイダーマン』や、『X-MEN』、『アイアンマン』など数々の著名ヒーローを世に送りだしてきたアメコミ界の重鎮スタン・リーが、『シャーマンキング』『重機人間ユンボル』などで知られる日本の漫画家・武井宏之とタッグを組んだ異色のSFロボットアクションマンガ『機巧童子ULTIMO』が遂に最終巻を迎えた。

「善」と「悪」はどちらが優れているのか? という究極の問いを実証すべく、超越者ダン・スタンが生み出した感情を持つ機械人形「機巧童子」と、その契約者である「殿」たちが時空を超えた一大戦争「百機回向」に身を投じていく……。

壮大なストーリーの本作は、善と悪の機巧童子による戦いが最大の見せ場であるものの、善悪の優劣を決めるという特殊な目的のために、肉体を破壊することよりも相手の精神を屈服させて善悪の宗旨替えをさせることが重視されている。
バトルマンガでありながらバトルマンガのお約束を否定するような、武井お得意の一筋縄ではいかない思想的なアプローチが加わっているのが特徴だ。

善の心と悪の心による禅問答のごとき争いの物語も最終局面となり、敵・味方に分かれていたすべての機巧童子が一致団結。
現在、過去、未来を巻き込んだダン・スタンとの決戦の行方は?
はたして「善」とは、「悪」とは人間にとっていかなる存在なのか?

掲載誌の休刊も影響したのか、終盤の展開は少々急ぎ足な印象も受けたものの、そのぶん、要点だけを絞ったソリッドなストーリーテリングによって作品テーマが明確化し、メリハリの効いた作劇に成功しているのが好印象。

すべての謎がひとつに収束していく、圧巻のクライマックスをぜひ見届けてほしい。



<文・一ノ瀬謹和>
涼しい部屋での読書を何よりも好む、もやし系ライター。マンガ以外では特撮ヒーロー関連の書籍で執筆することも。好きな怪獣戦艦はキングジョーグ。

単行本情報

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