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『ひまわり!! それからのだいすき!!』第10巻 愛本みずほ【日刊マンガガイド】

2016/03/20


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『ひまわり!! それからのだいすき!!』


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『ひまわり!! それからのだいすき!!』第10巻
愛本みずほ 講談社 ¥429+税
(2016年2月12日発売)


知的障害の母からの愛情を一身に受けながら、たくましく育った主人公・ひまわり。
母親思いでがんばり屋のひまわりの恋と成長を描いてきた『ひまわり!! それからのだいすき!!』。

第10巻で物語のカギを握るのは、ひまわりの勤める「障害者支援センター たんぽぽ」のボランティア・菊花(きっか)ちゃん。
ベリーショートがおしゃれな今どきの女の子だけど、どこか言動に影のある菊花ちゃんの秘密が、ひまわりの心を大きく揺さぶる。

知的障害者やその家族を支援しているひまわりに「偽善者」という言葉を向ける菊花ちゃん。
ひまわりは、100パーセント違うと言いきれないのをわかっているから、言葉をなくしてしまう。
幼なじみの陽人(はると)くんは、そんなひまわりに対し「おまえ あの子を憐れんでるんちゃうか?」と問いかける。

それぞれの痛みや苦しみ、葛藤が徐々に連鎖しながら、物語は佳境へ向かう。
シリアスな展開のなかでも、全体を通して「優しさ」が感じられるのは、登場人物たちがギリギリのところでまわりの人との関係を断ち切れずに悩む姿が描かれているからだ。

知的障害があること。知的障害の親を持つこと。知的障害の子を持つこと。
それは、自分に知的障害がなく、知的障害の家族もいない人の生活とは、かけ離れたものだろうか。

ひまわりの母・ゆずの母親としての成長を描いた『だいすき!! ゆずの子育て日記』の開始から足かけ11年。『ひまわり!! それからのだいすき!!』は次巻でいよいよ最終巻となる。
コミックでゆず・ひまわり母娘の歩みを振りかえりながら、シリーズの完結を待ちたい。



<文・片山幸子>
編集者。福岡県生まれ。マンガは、読むのも、記事を書くのも、とっても楽しいです。

単行本情報

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