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5月18日はことばの日 『言霊』を読もう! 【きょうのマンガ】

2016/05/18


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

5月18日はことばの日。本日読むべきマンガは……。


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『言霊』
山岸凉子 講談社 ¥600+税


本日は「5+(10+8)」で「ことばの日」。もはや方程式のごとき、語呂合わせである。
ひとつお断りしておきたいのが、この「ことばの日」、記念日サイトやウィキペディアなどに記述があるものの、どこのだれが定めたものなのか出所不明。世の中にはこうした“詠み人知らず”ならぬ“制定人知らず”な記念日が多数存在するのだ。

ただし、ネットの海に5月18日は「ことばの日」と書かれている以上、言いだしっぺは必ずいる。
もしかしたら、どこかの記念日サイトの管理人が適当につけたとか、ふたを開けてみれば単純なことなのかもしれないが、それでも言葉というものは侮れない。
何年か先の5月18日に「ことばの日」関連の大々的なイベントが行われる可能性だって否定できないのだ。

まさに言葉は生き物。このように、一度口にした言葉が現実の事象になんらかの影響を与えることを「言霊(ことだま)」という。

そこで、きょうのマンガは山岸凉子『言霊』をピックアップした。
山岸といえば『アラベスク』『舞姫 テレプシコーラ』で知られるバレエマンガの大家。この『言霊』の主人公・五十嵐澄(いがらし・さやか)も、プロに憧れてレッスンに明け暮れる16歳のバレエ少女だ。
澄はメンタルが弱く、コンクールで100パーセントの実力を発揮できたことがない。レッスン仲間の梓(あずさ)に「レッスン場では無敵」などとからかわれ、呪いの言葉のように受け取ってしまう。

そんな澄でも、本番でプレッシャーから解放されることがある。それは、自分の前に出ている人が失敗をすること。
「転ぶ人もいるんだ」と思うと、リラックスして踊ることができるのだ。だから口ではみんなに「がんばろう!」と言いつつも、心のなかでは「失敗して!」と祈っている。

このように、バレエというモチーフを借りているものの、主軸となるのはメンタルコントロール。
心と身体がいかに密接な関係にあるのか? マイナスの言葉がどのような形で呪いに変わるのか? そこを真正面から捉え、提示している。
自分の暗黒面に嫌気がさし、葛藤する澄。そんな彼女に実力派バレエダンサーの聖也は、「大脳は考える言葉のすべてに影響を受ける」と助言する。言霊は科学なのだ。

いろいろなことがうまくいかずに悩んでいる人は、まず、ひとり言やSNSの書きこみでネガティブな言葉をつぶやくことをヤメてみてはいかがだろうか。



<文・奈良崎コロスケ>
中野ブロードウェイの真横に在住。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。公開中の映画『殿、利息でござる!』の劇場用プログラムに参加しております。
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