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『ファイアパンチ』 第1巻 藤本タツキ 【日刊マンガガイド】

2016/07/27


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『ファイアパンチ』


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『ファイアパンチ』 第1巻
藤本タツキ 集英社 ¥400+税
(2016年7月4日発売)


第1話の冒頭から、少年の腕切断、食人、近親相姦。ショッキングな内容が次々繰りだされ、大反響を呼んだ本作。
雪と飢餓で覆われ、死がはびこる絶望的な世界。切り刻んでも燃やしても絶対死なない再生能力を持った少年・アグニは、「焼け朽ちるまで消えない」炎に包まれる。
痛みにのたうち回りながら無限に再生を繰り返す身体。彼は8年後、激しく燃えさかる姿で、妹と村人を焼きつくした相手への復讐に立ち上がる。

再生能力者が腕を切って食べさせる。燃えて塵になったはしから再生していく。
描かれたビジュアルはあまりにも異様で斬新だった。
「少年ジャンプ+」で公開された日のうちに、この作品はあっという間にネット中の話題になった。

その腕で殴れば、焼け朽ちるまで消えない炎が燃え移り、どんな相手でも殺すことができる。
銃で撃とうと斬りつけようと、異常な再生力のある彼を殺すことはできない。
全身を鉄でおおった強力な相手ですらも、ワンパンチ。
無敵の存在になった、はずだった。

なのに第1巻で、彼はあっさり首だけになってしまう。
生きてはいるものの、銃で撃たれ続け、再生しきれなくなる。
作者は早々に、倒す方法を描いてしまったのだ。
『ファイアパンチ』というタイトルから、あたかも彼が復讐の鬼になる展開を連想するが、決してアグニが無双する話ではない。

登場する人物がまた変態ぞろいで、特殊な存在であるアグニと並べても遜色ないキャラばかり。
もっとも特徴的でこの作品らしいのは、犬を飼っている優しい男性・ジャックだろう。
何がどうおかしいのかは、ぜひ読んで確かめてみてほしい。
「なんで?」と首をかしげずにいられないはず。

出てくる大人たちはたいてい死んだ目をしており、この世を達観して、ひどく頭のネジがはずれている。次はどんな変態が出てくるのか皆目見当がつかない。

第1巻ラストでは、唐突にトガタという女性が登場。
アグニの物語をぶった切って彼女が映画制作の話を始めるなんて、だれも予想していなかっただろう。作者はこのマンガを、“復讐譚”で終わらせるつもりは、これっぽっちもないようだ。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

  • 『ファイアパンチ』 第1巻 Amazonで購入

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