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『げんしけん 二代目の十一』 第20巻 木尾士目 【日刊マンガガイド】

2016/07/29


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『げんしけん 二代目』


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『げんしけん 二代目の十一』 第20巻
木尾士目 講談社 ¥600+税
(2016年6月23日発売)


現在進行している「斑目ハーレム」編、今度こそ本当に佳境。
OBの斑目が、オタク部活がらみの4人の恋人候補のなかから、ひとりを選ばねばならない時がきた。

「はよ決めんかい」状態でジリジリしているのが、何巻も続いていた。
しかしここまでのハーレム編は、斑目との恋愛だけを描くために引っ張ったわけではない。

ひとつはセクシャリティの問題。
「BL」という語を乱発することでふんわりとぼかしてはいた、「ノンケだった人間が、現実的に男性を身体面で愛せるのか」という疑問だ。
波戸が悩んでいるのに対し、斑目は「タブー視しなくてもいんじゃね?」「やってみないとわからない」と、肯定的。加えて周囲の部員も、ほとんどがそこを疑問視していない。

一方でギャルの笹原恵子が嫌悪するのもきちんと描写。外国人アンジェラに至っては性的なシェアまで提案している。
性の多様なとらえ方を、細心の注意をはらって表現し続けた。

もうひとつは、オタクの新陳代謝が完全に行われたことの再確認。
第14巻(二代目の伍)で、90年代オタクの象徴ともいえる生き方をしていた斑目が、オタクではない女性・咲に完全にフられた。レトロタイプのオタクたちはみんな卒業してしまった。

一方で第20巻では、2010年代オタクの象徴・矢島にかなり比重が置かれている。趣味に対しては堂々としているし、コミュニケーション能力も低くない。
しかし容姿へのコンプレックスが強く、恋愛に諦念を抱いている。

加えて、かつて人間不信の塊だった荻上が、今回のハーレム編で傍観者になったことで、あけっぴろげな発言を繰り返しているのも大きい。
照れ屋なスーが一歩踏みだせないのを見て、彼女が「さっさとやっちゃえばいいのに」とサラッといったのは、これまでではありえないことだった。

にしても、こんなめちゃくちゃな、サークル崩壊待ったなしの状態を維持できているのは、ひとえに吉武の力によるところが大きい。まあ、本人はおもしろがってるだけのようだけど。
ここまででほぼ全員のキラの心が丸裸になっただけに、まだまだ隠しごとの多そうな吉武の動向は気になってくる。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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