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『ロボット刑事1973[完全版]』 第3巻 石ノ森章太郎 【日刊マンガガイド】

2016/07/28


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『ロボット刑事1973[完全版]』


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『ロボット刑事1973[完全版]』第3巻
石ノ森章太郎 復刊ドットコム ¥5,000+税
(2016年6月23日発売)


石ノ森章太郎といえば『仮面ライダー』!

マンガにかぎっていえば必ずしもそうではないけど、あながち間違った認識でもあるまい。“原作者”石ノ森章太郎の代表作は、確実に『仮面ライダー』なので。

もっとも、原作者といいつつ実際に原作マンガの執筆を手がけた作品は案外少ない。なぜなら、いずれもテレビ化を前提とした企画のため、作品の基本設定やストーリーライン、そしてキャラクターデザインを考案した時点で原作者の役割を果たしているから。
なので、それらのマンガ展開は児童誌や幼年誌などにおける、テレビ準拠の各種コミカライズを中心に行われたわけだが、『仮面ライダー』や『人造人間キカイダー』、『変身忍者 嵐』、『イナズマン』、『秘密戦隊ゴレンジャー』、『宇宙鉄人キョーダイン』など、石ノ森による原作版が存在するタイトルはもちろんあるし、いずれもテレビ展開にはとらわれない“石ノ森作品”として、強烈なオリジナリティを放つ傑作・名作・珍作ぞろいなのはいうまでもない。

ということで、石ノ森ヒーローマンガといえば『ロボット刑事』!

なんて話は特にないんですが。
なんなら石ノ森ヒーローマンガのなかでは軽んじられがちな気がしてしょうがないんですが。
そこは、軽んじがちな皆様にちょっと苦言を呈したくなるわけです。善良なイチ石ノ森マニアとして。あまりにも壮絶に投げっぱなしな最終回の印象でずいぶん損をしてるけど、とりあえずラストの手前まではかなり名作なので。

そして、石ノ森章太郎といえばコマ割り!

なんて話は実際ありまして。
ひと言でいって、石ノ森作品の持ち味はきわめてテクニカルなマンガの文法、特にコマ割りの妙。
石ノ森によって開発されたマンガの技法は数知れず、要は「何を描くか」はもちろん「どう描くか」において非常に卓越したスキルとセンスを発揮し続けた漫画家、それが石ノ森章太郎なのだ。

なんて話はもはや世間の常識なので、あえて書く必要もないかなと思いつつ、あらためて強く主張してみた次第。
なぜなら、今回ご紹介する「石ノ森変身ヒーロー[完全版]シリーズ」の第4弾『ロボット刑事1973[完全版]』全3巻のキモが、まさにそこだから。

昨今、「完全版」を謳うマンガ単行本はたくさん出てるけど、その基準は様々で。

未単行本化エピソードがある場合は、全話コンプリート。
もちろんカラーページは、すべてフルカラーで収録。
単行本化の際にオミットされた扉絵やページを収録し、加筆修正された箇所をもとに戻して初出の形を再現。

このへんまではほぼデフォルトながら、作品/出版社でケース・バイ・ケースなのが判型。
要は掲載誌サイズ、初出と同じくB5判か否か。
ここは単純にコストの問題でスルーされがちだけど、なにげに重要なポイントだ。

少なくとも石ノ森作品の完全版は、このサイズこそがマスト。というのも、掲載時の判型でこそ石ノ森ヒーローマンガのアクション演出が十全に堪能できるから。
それは同シリーズの第1弾『仮面ライダー1971[完全版]』全2巻を読めば一目瞭然である。

乱暴にいいきってしまえば、原作版『仮面ライダー』の魅力は、縦横無尽に展開するアクションのダイナミズムにほぼ尽きるので、そのおもしろさは誌面の大きさに正比例。
B5判は大きさにして文庫の4倍サイズなので、文庫で読むよりきっちり4倍おもしろかったりするので。

それは『ロボット刑事』もしかり。
もっとも本作の場合、事件ものとして話の筋で読ませるタイプの作品なので、必ずしも『仮面ライダー』のような徹頭徹尾アクション押しではなかったりするけど、謎解きのサスペンスや登場キャラクターの心の機微、そしていわずもがなのアクションまで、その多様な演出テクニックがキモなのは間違いなく。
ゆえに、やはり文庫で読む4倍は、確実におもしろかったりするのだ。

その点、第2弾の『人造人間キカイダー』、続く『イナズマン』、そして本作と、単価が上がるリスクをおかしても、あくまで掲載誌サイズにこだわって出版し続ける「石ノ森変身ヒーロー[完全版]シリーズ」は、正真正銘[完全版]のタイトルに偽りなし。

さらに申し上げると、巻末の資料ページにて単行本化における変更箇所を図版入りで完全フォロー。
本文では原画にタイトルロゴを入れる形で収録された扉絵も、すべて掲載時=キャッチ入りの状態で巻末にアーカイブしてるので、当時の雰囲気もちゃんと確認可能。
加えて、石ノ森によるデザイン画などの資料も充実と至れり尽くせりの仕様で言うことなし。
厳密にいうとロボット刑事は変身しないけど、[完全版]シリーズ」のタイトルにはまったく偽りないので。

と、ここまで読んで、作品自体の解説が全然ねーじゃんと思ったあなた。
おっしゃることはもっともだけど、今回は解説がいっさいなしでまったく問題ございません。
そもそも一度も『ロボット刑事』を読んだことのない人が、いきなり[完全版]を買うとはとうてい思えないので。

なんなら『ロボット刑事』未読の方は、まず文庫で読んでから[完全版]を楽しんでいただきたい。そうすれば、サイズのぶんきっちり4倍おもしろいことが理解できるので。

「そんな酔狂できるか!」とお怒りのあなた。
おっしゃることはもっともだけど、[完全版]から始めていただいてもまったく問題ございません。けっこう高額だけど、値段のもとはちゃんととれるので。

ちなみに、元がとれなくてもなんの保証もございません。
完全に、ただの石ノ森マニアの言いぶんなので。



<文・鴬谷五郎>
怪獣怪人ライター。著書に『魂の仮面ライダー爆談!![COMPLETE+](共著:村枝賢一)』『東映ヒーロー仮面俳優列伝』(ともに辰巳出版)。好きなバドーロボットはコシカケマン……にかぎらず全部。

単行本情報

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