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『炭に白蓮』 第1巻 山田圭子 【日刊マンガガイド】

2016/08/13


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『炭に白蓮』


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『炭に白蓮』 第1巻
山田圭子 秋田書店 ¥429+税
(2016年7月15日発売)


白蓮事件――連続テレビ小説『花子とアン』で一躍有名になった、大正時代に起きた大スキャンダル。
歌人・柳原白蓮(やなぎわら・びゃくれん)が、夫である炭鉱王・伊藤傳右衛門(いとう・でんえもん)のもとから出奔、社会運動家で法学士の宮崎龍介とかけおちした事件だ。
新聞紙上で白蓮から夫への絶縁状が叩きつけられ、夫である傳右衛門も同じく紙面で反論文を突き返したという、新聞を使ったマスコミ合戦でもある。
そしてこのマンガ『炭に白蓮』は、その白蓮事件を華麗な絵柄で鮮やかにコミカライズし、読みごたえのある作品に仕上げた。

時は明治末期。
九州の炭鉱王として名を馳せている伊藤傳右衛門と、25歳下の伯爵令嬢である柳原燁子(やなぎわら・あきこ=後の柳原白蓮)との結婚が華々しく行われた。
新聞は「黄金結婚」と報じるほどで、傳右衛門はその圧倒的な財力で華族の地位を買ったと大騒ぎになった。最初燁子は自分の意思もないように見え、唯々諾々と命令に従う彼女を、傳右衛門は人形のような嫁と感じる。が、伊藤家に入ったとたん燁子は、今後この家は筑豊における規範にならねばならないと宣言。厳しく礼儀作法の指導を始める燁子だったが……。

伊藤家には傳右衛門からの信頼が厚い女中頭のサキがいて、新婚当初から燁子とサキの争いが勃発したりと、のちのかけおち事件への布石と思わせるエピソードもかいま見える。
(傳右衛門の女性関係も、事件の要因のひとつだった)

が、この第1巻では、慣れない社交界に苦戦する傳右衛門を燁子が支える姿が多々あり、2人が徐々に寄り添いあっていく様子が描かれている。
身分の差というギャップを埋め、2人がうまくいっているように見えるぶんだけ、このあとでどうなるのかと非常にワクワクする。

作者のあとがきページによると、実際の傳右衛門氏は穏やかで無口な男性であったとのこと。
しかしこのマンガに描かれている傳右衛門は大胆で男らしく、作者がこの実話を自分のものとして噛み砕き、上質のエンターテイメントとして再構築しているのがよく伝わってくる。
今後の展開が、とても楽しみだ。



<文・山王さくらこ>
ゲームシナリオなど女性向けのライティングやってます。思考回路は基本的に乙女系&スピ系。
相方と情報発信ブログ始めました。主にクラシックやバレエ担当。
ブログ「この青はきみの青」

単行本情報

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