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8月5日は「タクシーの日」 『闇金ウシジマくん』を読もう! 【きょうのマンガ】

2016/08/05


365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

8月5日はタクシーの日。本日読むべきマンガは……。


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『闇金ウシジマくん』第14巻
真鍋昌平 小学館 ¥514+税


きょうはタクシーの日。
明治が終わり、大正時代が幕を開けた直後の1912年8月5日。日本初のタクシー会社が東京で営業を開始……する予定だったが、明治天皇崩御などのバタバタもあり、8月15日から正式スタートとなった。

現在の有楽町マリオンがある場所に設立された「タクシー自働車株式会社」(注:「自働車」は当時の表記)は、6台のT型フォードで営業を開始。この時点でタクシーメーターが装備されていたというから驚きだ(メーターの取りつけに手間どったのも開業が遅れた理由のひとつ)。

料金は初乗り1哩(約1.6キロ)が60銭。以降、半哩(800メートル)増すごとに10銭が加算された。
非常に高価な乗り物だったが、2年後には第一次世界大戦の特需景気となり、タクシー事業も急伸する。1921年には、いわゆる「流しのタクシー」も出現し始めた。

てなわけで、もともとの初開業予定日である8月5日を由来として制定されたのが「タクシーの日」である。
戦争から高度成長、バブル経済から平成の大不況まで、104年間の移りかわりを、タクシーは見続けてきたのだ。

そんな「タクシーの日」にぜひ紹介したいのが、『闇金ウシジマくん』のスーパータクシーくん編だ(第14巻に収録)。

主人公は、黒い肌に白いシャツをパリっと決めたタクシードライバーの諸星信也。鏡を見ながらトリッキーなポーズを決めるナルシストの変人だが、すこぶる前向きで健康的なアラフォー男で、借金とは無縁のタイプに見える。

しかし、現実は厳しい。毎月ノルマ達成ギリギリの綱渡りのうえに、離婚した妻から容赦のない養育費の催促が。
それなのに女遊びで散財し、常に素寒貧。

結局、ドライバー仲間の紹介で「カウカウファイナンス」(主人公・丑嶋の経営する闇金融)の世話になるハメに。
定収入が見こめるタクシードライバーは、闇金にとっていいお客さんなのだ。

マジメに働けば手取り30万円程度は普通にもらえるタクシードライバーがなぜ、一般の消費者金融ではなく闇金に手を出すのか? 
タクシードライバーという職業は、わけありの人間が流れつく場所という側面がある。諸星の働く「KYタクシー」のリーダー的存在、木村はいう。「最初からドライバーになりたくてなった奴はいねぇよ」。

ノルマに追いたてられながら長時間労働を強いられ、嫌な客にもニコニコと応対しつつ、睡魔や職業病の痔と戦う日々。タクシードライバーは「運転が好きだから」という理由だけで、気軽に就ける甘い職種ではない。
そんな心身ともにキツいドライバー生活のなかで、つとめて明るくふるまう諸星に、どんな過去があったのか? 
物語は終盤、意外な方向に転がり始める。

『闇金ウシジマくん』シリーズでは珍しく、1冊完結でスパッと読み切れるエピソード。
第13巻までに登場したキャラクターとの繋がりもいっさいないので、この第14巻だけ手に取っていただいても無問題だ。
諸星の葛藤に触れながら最後のページを閉じたとき、タクシーに乗る時の意識が少しだけ変わるはずだ。

タクシードライバーのみなさん、いつもありがとうございます!



<文・奈良崎コロスケ>
中野ブロードウェイの真横に在住。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。今秋公開予定の内村光良監督『金メダル男』の劇場用プログラムに参加しております。

単行本情報

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