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『ぼくと姉とオバケたち 完全版』 押切蓮介 【日刊マンガガイド】

2016/09/16


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『ぼくと姉とオバケたち』


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『ぼくと姉とオバケたち 完全版』
押切蓮介 竹書房 ¥690+税
(2016年8月8日発売)


押切蓮介が2004年から「まんがライフオリジナル」(竹書房)で断続的に連載、全2巻で単行本化されていた幻の作品『ぼくと姉とオバケたち』が完全版としてよみがえった。

ゲーマーマンガの金字塔『ハイスコアガール』でブレイク、そして、著作権問題に……と、天国と地獄を舐めつくした!? 著者だが、本作はそれ以前のホラーギャグ時代の作品。
オバケが住んでいる家に引っ越してしまった姉弟とオバケたちの奇妙な共同生活が4コマ連作でつれづれと綴られてゆく様は、ホラーというよりは、シュール&キッチュなナンセンスギャグといったおもむき。

元人間の幽霊はもとより、カッパ、雪女、鬼、カミナリ様、はては忍者にサンタクロースまで…。
次々と無節操に登場するオバケたちは、怖くない自分に悩んだり、姉さんにコキつかわれたり、まったく怖くないどころか妙に人間臭く、思わず愛さずにいられないマヌケさにあふれている。

オバケが怖くない姉とオバケが怖い弟の予定調和なボケツッコミも楽しく、ネタ自体は正直おもしろくないし、オチのカタルシスも皆無なのに、押切作品ならではの「ショボイ笑い」を愛する人ならクセになる中毒性がある。

幽霊や妖怪といった「非日常」なるものを、極めて日常的なくだらない擬似ファミリーものに落としこんだ本作は、おそらく生身の人間よりもマンガやゲームのなかの奇なるものに親しんできたであろう著者にしか描けない世界なのだろう。

今回の単行本化の裏話を描いた描き下ろし特別編、熱帯魚飼育エッセイマンガ「スキスキ!!アクアリウム」もオマケ収録。『ハイスコアガール』だけじゃない押切ワールドが堪能できる1冊だ。



<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69

単行本情報

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