日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい！WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー！

今回紹介するのは、『珈琲店タレーランの事件簿 彼女はカフェオレの夢を見る』

『このマンガがすごい! comics 珈琲店タレーランの事件簿 彼女はカフェオレの夢を見る』第2巻
岡崎琢磨（作） 峠比呂（画） 宝島社 ￥540+税
（2016年10月7日発売）

名探偵バリスタ（珈琲のソムリエ的なもの）の切間美星（きりま・みほし）が、状況証拠を人から聞いて、ズバズバ推理していくミステリー。
美星の妹にあたるのが、美空（みそら）。彼女はとある理由で美星のもとにやってきた。美星はその理由を知らない……というのが第1巻。
第2巻はその謎を追って、美空がぐいぐい動き回る。スーパー美空フィーバー巻だ。

美星（姉）はとても冷静で、静かに物事を考える性格。一方で美空（妹）は、とにかく思いついたらすぐ行動する。
この『タレーラン』シリーズ自体は、カフェのたたずまいのように落ちついた雰囲気の作品。
そのなかにあって美空のド活発な性格は、ものすごく目立つ。
気が強く、周りの人を巻きこみ、事件にガンガン切りこんでいく。
ホットパンツをはいて常にふとももをさらし、あっちこっちを駆けまわる。

実年齢は最後の最後で明かされるのでここでは伏せておく。
作者が美星を描く時は、しっとりした大人っぽさのなかに、少女のような感情をさらっと交えて描くことで、キャラクターの人間味をうまく引き出していた。
美空の場合は全体的に幼さを混ぜこみ、要所に大人びた空気を入れることで、きっぷのよい女子の魅力を表現することに成功している。

美空の行動は時おり破天荒。それが自分のためだけではなく、姉の美星のことを考えてのことなのが、いじらしい。
自室でくつろいでいる時の「女」な雰囲気は、ふだん子どもっぽいだけにドキッとするはず。

……と思ったらラストで、美星さんが1番おいしいところを持っていっちゃいます。
うーん、選べない。これだから切間姉妹ってやつは！

＜文・たまごまご＞
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」