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『ましろのおと』 第16巻 羅川真里茂 【日刊マンガガイド】

2016/11/11


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『ましろのおと』


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『ましろのおと』 第16巻
羅川真里茂 講談社 ¥429+税
(2016年10月17日発売)


育ての親であり、不世出の津軽三味線名人であり、尊敬する師でもあった祖父の澤村松吾郎を亡くし、青森から東京へとやってきた少年・雪(せつ)が、自分の音を探し求める魂の物語がネクストステージへ。

田沼総一、神木清流(緒方洸輔)という最強のライバルたちが顔をそろえた弘前津軽三味線全国大会で優勝を果たした雪。3つ年上の兄・若菜も同時期に青森で行われていた津軽三味線日本一決定戦で優勝、兄弟そろって覚醒を果たした瞬間だった。

このW優勝が2人の運命を大きく変えていく。
息子たちの才能を世に出すことを目的とする母・梅子は若菜を拉致し、強引にファーストアルバムを作り上げる。このCDは有名ミュージシャンとのコラボと大々的なプロモーションのおかげで三味線アルバムとしては異例のヒット。津軽三味線奏者としては地味な存在だった若菜は、一躍時の人となる。

一方、売れ線に特化した兄のアルバムを聴いて戸惑いを隠せない雪にも、予想外の人物からアーティストデビューのアプローチが。
自己顕示欲の薄い雪はすぐさま断るが、動き始めた運命の歯車は簡単には止まらなかった。

高校の部活で仲間たちといっしょに大会に挑む学園編から一転、退路を断って民謡居酒屋「竹の華」で曲者ぞろいの年長者たちと切磋琢磨する修行編に突入した時も驚いたが、まさかここまで大きなスケールの物語に発展するとは……。

ヒロインやライバルが次々に登場し、やや散漫な印象を受けた時期もあったが、ここへ来て15巻ぶんの物語がイッキにまとまり始め、一本の太棹が完成しようとしている。
画力と構成力の向上も著しく、バチバチとした津軽三味線の音が画面から飛び出してくるかのような、あの独特の感覚の提示も、ますます冴えわたっている。

偉大な祖父・松吾郎のルーツからスタートするこの第16巻が、作品にとって重要なターニングポイントとなることは間違いない。
連載開始から6年以上の月日を経て、『ましろのおと』が円熟期に突入した。



<文・奈良崎コロスケ>
中野ブロードウェイの真横に在住。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。『金メダル男』(内村光良監督)の劇場用プログラムに参加しております。

単行本情報

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