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『指名手配犯』 第1巻 田近康平 【日刊マンガガイド】

2016/11/17


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『指名手配犯』


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『指名手配犯』 第1巻
田近康平 新潮社 ¥580+税
(2016年9月9日発売)


朝食をとおして女子の心のうちを描いた『いつかティファニーで朝食を』から『軍靴のバルツァー』のようなハードな歴史ものまで、バラエティに富んだ連載ラインナップで男女問わず多くの読者に支持される「月刊コミック@バンチ」。
そんな@バンチで現在連載中のクライム・サスペンス『指名手配犯』の第1巻。

主人公の見影守人(みかげ・もりひと)は、一度目にした顔を瞬時に頭に焼きつけ、保持し続けられるという特殊能力を持つ者・スーパーレコグナイザー。
その能力をいかし、指名手配犯を写真を頼りに捜し出す“見当たり捜査”に従事する警視庁の刑事だ。

ジャンルとしては、サスペンスに分類されるのだろうが、むしろスーパーレコグナイザーとしての能力を駆使して、犯人を追い詰めている見影の姿は、超常の力で悪と戦うヒーローのようでもある。
街のいたるところに設置された監視カメラの映像を頼りに、逃亡した指名手配犯を見つけ出した瞬間なんて、一般人の技術力とヒーローの特殊能力があわさって悪を追いつめるような爽快感がある。

敵味方問わず、著者の田近氏の描くキャラクターは曲者ぞろい。13人の重要指名手配犯たちが、どいつもこいつも悪そうなのは当然だけれども、味方であるはずの警視庁の面々も「よく……おまわりさんになれましたね……」と思いたくなるようなやつらばかり。

だけどそれがいい。
前述のとおり、本作はスーパーレコグナイザーという特殊能力を中心に物語が展開する。それはひとつ間違えば読者に都合のよさを感じさせ、一気に嘘くさいマンガになってしまう危険性があるということだ。

しかしケレン味満点のキャラクターたちが、画面のなかで大暴れすることで、特殊能力という“異物”の存在は、だんだんと物語になじんでいく。そんな強引さが田近氏の作品の魅力のひとつだ。

こうやって書いてしまうと、ただひたすらに破天荒な作品のように思えるが、現場と本庁の温度感の差を描くなど、“刑事もの”としても、抑えるべきところをキチンとおさえてくれている。

最たる例が、13人の重要指名手配犯を束ねる男・光國天真(みつくに・てんま)の存在だ。
彼は、13年前に見影の家族を殺したとされ、キャリアであるはずの見影がいまだ現場に立ち続ける理由を作った男。

彼との因縁が、今後どのように物語に影響を与えるのか、目が離せない。



<文・四海鏡>
石ノ森章太郎ファンのライター。好きな石ノ森作品は『番長惑星』など。ネオライダー世代。

単行本情報

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