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『ゴジラ:ルーラーズ・オブ・アース』 第1巻 クリス・マウリー(作) マット・フランク、ジェフ・ゾーナウ(画) 【日刊マンガガイド】

2016/12/15


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『ゴジラ:ルーラーズ・オブ・アース』


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『ゴジラ:ルーラーズ・オブ・アース 初回限定カバ-版』 第1巻
クリス・マウリー(作) マット・フランク、ジェフ・ゾーナウ(画) フェーズシックス ¥2,500+税
(2016年10月22日発売)


映画『シン・ゴジラ』の大ヒットをはじめ、2016年はゴジラシリーズにとって新たなるメモリアルとなった1年。
一部の熱狂的なマニアのみならず、ゴジラがごく普通の人たちの話題にのぼり、今も毎日のようにCMで姿を見るほどに復権したことは、たいへん喜ばしい限りである。

そんなゴジラ熱の恩恵もあってか、アメコミ版ゴジラ作品のひとつである『ゴジラ:ルーラーズ・オブ・アース』の日本語翻訳版の刊行が実現!
ご存じの方も多いとは思うが、ゴジラはアメリカでも非常に人気の高いキャラクターであり、それゆえゴジラ関連のアメコミ作品は多数存在。マーベル・コミックにおいてはアベンジャーズとの戦闘経験もあり、なかにはアントマンの能力でゴジラが縮小されるというエピソードまであったりする。

だが、そんな珍品も含め、正直なところ「コレジャナイ」といわざるをえない作品も少なくはなかった。
まぁ、それはそれで味わいあるものとして愛してこそのゴジラファンなのかもしれないが、『ゴジラ:ルーラーズ・オブ・アース』に関しては、そんな心配はまったくご無用! 
映像作品の造形物にかなり寄せて怪獣たちが描かれているのが本作の特徴であり、「日本のゴジラ映画」に対する愛情があふれまくっていることは一目瞭然。
そのため翻訳前から日本のゴジラファンからも非常に評価は高く、現在のところ、アメコミ版ゴジラとしては最長の連載となっているのも納得の作品である。

内容については、『怪獣総進撃』や『ゴジラ FINAL WARS』をほうふつとさせる、“夢の怪獣バトル濃縮スープ”といえばおおよそは伝わるだろう。
映像作品では「やっぱりマグロ食ってるようなのはダメだな」で一笑に付されてしまった感もあるゴジラVSジラを、きっちり“ドリームマッチ”として描いているのにも溜飲が下がるが、ほかにもガイガンVSクモンガ、デストロイアVSモスラ、ラドンVSバランといった通好みのマッチメイクが続出。
さらに、巨大培養器のなかで再生されるガイラをはじめ、ゲゾラやマンダなどのややマニアックな怪獣もシビれるほどカッコよく描かれているのが、「マジ最高!」としかいえない。

とにかくあまりにすばらしすぎて、解説すればするほど語彙力が低下するヤバさなので、とりあえずは怪獣好きなら何も考えずにまず買うべし!
そしてジェットジャガーの大活躍や、メカゴジラ軍団とゴジラの死闘など、さらなる見どころ満載の第2巻以降の日本語翻訳版を心して待ちたい。



<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。

単行本情報

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