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【日刊マンガガイド】『平和をわれらに! 漫画が語る戦争』 水木しげる/手塚治虫/藤子・F・不二雄/石ノ森章太郎(著)

2014/08/18


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『平和をわれらに! 漫画が語る戦争』
水木しげる/手塚治虫/藤子・F・不二雄/石ノ森章太郎(著) 小学館 ¥1,600+税
(2014年8月1日発売)


『平和をわれらに! 漫画が語る戦争』は、悲劇という言葉では簡単にくくれない、戦争がもたらす苦悩、恐怖、哀切を描いた、平和をテーマにしたアンソロジー集だ。
水木しげる作品が2篇、手塚治虫作品が3篇、藤子・F・不二雄作品が4篇、石ノ森章太郎作品が3篇、マンガ研究家・中野晴行のセレクトで編まれている。手塚治虫「猫の血」や石ノ森章太郎「くだんのはは」(原作:小松左京)など、SFやホラーのテイストがある作品も収められているのも一興。

なかでも出色なのが、藤子・F・不二雄の作品群である。
掲載されている4篇「超兵器ガ壱號」「マイシェルター」「カンビュセスの籖」「ある日…」は、大人向けで、シニカルでシビア。しかしそれだけに、深い感慨も感動もある。
また、他の作家の戦争をめぐる作品とあわせて読むことで、藤子作品の奥底にある人間を見つめる視点が、さらに突き刺さってくる。

たとえば、南方の島で日本軍が巨大な宇宙人=ガ一号と出会う「超兵器ガ壱號」。
ガ一号の力を借りた日本軍は、戦争に勝利するが、今度は彼の存在を持て余すことになる。彼の暗殺を命じられ、薬を飲ませる役目を負わされることになったのは、ガ一号と交流を続け、友情を育んできた海堂少尉。しかし海堂少尉はすべてを打ち明けて、彼をなんとか助けようとするが、それでも今では日本は祖国で日本人でありたいと考えるガ一号は、「名誉アル死ヲ選ビマス」と薬を飲もうとする。そのとき……!?

ラストは皮肉めいたギャグテイストな作品だが、それだけに戦争や力や忠誠をめぐる滑稽さ、悲しさ、愚かさが伝わってくる。巻頭に収録された水木しげる「カンデレ」の、あわせ鏡のような作品だ。
多くの短編集に収録されている、藤子ファンにとってはおなじみの作品なのだが、本アンソロジーで他の作品群とともにあらためて読めば、その批評性の高さは格別と思える。

戦争や平和について考えるときに、心にめぐるさまざまな思い。そのすべてが、本集には詰まっている。



<文・渡辺水央>
マンガ・映画・アニメライター。編集を務める映画誌「ぴあMovie Special 2014 Summer」が発売中。DVD&Blu-ray『一週間フレンズ。』ブックレットも手掛けています。

単行本情報

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