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【日刊マンガガイド】『めしばな刑事タチバナ』第14巻 坂戸佐兵衛(作) 旅井とり(画)

2014/08/18


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『めしばな刑事タチバナ』第14巻
坂戸佐兵衛(作) 旅井とり(画) 徳間書店 ¥560+税
(2014年7月31日発売)


2013年にテレビドラマ化されたことで、一気に知名度が上がった感もある本作。
ジャンルとしては、いわゆる“グルメマンガ”に分類されるものの、その話題の対象となるのが全国どこにでもあるチェーン系の外食店や、あるいはインスタント・レトルト食品や駄菓子といった、言ってしまえばB級・C級グルメがほとんどであるのが最大の特徴。それらについて、城西署の刑事であるタチバナを中心とした登場人物が、ウンチクと体験談を交えて熱く語る作品である。

本作が高く評価され、多くのファンを獲得している要因は、ただウンチクが羅列されるだけでなく(むしろ傑作エピソードであるとの声も多い第10巻の「駄菓子イズム」において「単なる事実の羅列はそれを知っている者から見れば滑稽でしかない」と釘を差されるなど、ただのウンチク披露にはじつに手厳しい!)、非常に細かな着眼点の体験談と、そこに宿る本物の愛情にある。
味に関しては“個人の好み”と割り切られ、ましてや食の安全性なんてものには完全ノータッチという潔さも、大きな共感を呼ぶポイントだろう。

最新14巻でも、その路線はしっかり保たれている。
満を持して登場という感もある“チャーハン”を題材とした「チャーハン大会」では、なんと5話分をかけて、「本当に“パラパラチャーハン”が至高なのか?」を描く。「しっとり派」のタチバナが、少しずつ「パラパラ派」の牙城を崩していく過程が熱い!
その意外(?)な結末まで含めて、まさに必読のエピソードである。

ほかに「喫茶店でサンドイッチやパンに塩を振るのはアリ? ナシ?」というニッチにもほどがあるテーマがすごいエピソード「ブレッド&ソルト」をはじめ、「中華カレー」「スイカ味アイス」「缶入りコーンポタージュ」「ソーセージ」を収録。
試してみたくなる食べ方、行ってみたくなる店の“敷居の低さ”もあいかわらずである。

なお、舞台が警察署であることの必然性のなさは、すでに誰も気にしていないと思われる本作。
タイトルから「刑事マンガ」を期待して読み始めると「お客さん、入る店を間違えましたね?」としか言いようがないので、未読の方はお気をつけいただきたい。



<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。

単行本情報

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