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『ひとりぼっちの地球侵略』 第11巻 小川麻衣子 【日刊マンガガイド】

2017/01/10


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『ひとりぼっちの地球侵略』


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『ひとりぼっちの地球侵略』 第11巻
小川麻衣子 小学館 ¥457+税
(2016年12月12日発売)


ある町を舞台に繰り広げられる、地球人類の命運をかけたSFアクション。
主人公は、かつて宇宙帝国を築いた一族の生き残りである大鳥希と、十年前に一度絶命するも希の心臓を移植されて蘇った広瀬岬一。

岬一が暮らす「松横市」は10年前に宇宙人からの侵攻を受けて一度崩壊していた。希はその侵攻を引き起こした張本人だが、現れる筈だった自分の母星の軍勢ではなく、別の宇宙人たちが攻めこんできてしまう。圧倒的な戦闘力で町の破壊を食い止めた希だったが、岬一は巻き添えで命を落とす。
希の心臓を受け継ぐことで生きながらえた岬一は、10年後に希と高校で再開し、再び宇宙人による侵攻の時が近づくのだった。

岬一には病弱な双子の兄である凪がいる。そもそも10年前の宇宙艦隊による侵攻事件で岬一が命を失う原因になったのはこの凪だった。
不治の病で何度も生死の境をさまよっていた凪が、元気溌剌・天真爛漫な岬一に対して抱く愛憎とも嫉妬ともつかない不気味な感情。凪もまた、岬一とともに10年前の事件で右腕を失い、希とは別の宇宙人に寄生されていた。
岬一とは違い、その精神までも宇宙人に支配され、希や岬一と敵対するようになる凪。

辺境惑星の誇り高き戦士でありながら希の趣味でかわいい猫にされてしまった「リコ」や、宇宙人たちの歴史を知る超長寿の祖母を持つ超大富豪の娘アイラといった脇役たちも楽しく、希と岬一との異種間ラブコメとしても読める。
なんといっても、凪のキャラクターが絶妙。上述したような岬一の健康への嫉妬がもっとも強い感情なのだろうが、幼少期から無邪気な岬一とセットで見られていたことで育まれたとおぼしき「サバサバしているようでぜんぜんサバサバしていない」性格、岬一が死んでくれたらいいのに思っていながらいっしょに死ねるならそれもいいかも……と考える自己中っぷり。
右腕に寄生した強力な宇宙人によって人格を乗っ取られることでさらに複雑な人格設定になってしまっているのに、岬一はいちずに兄弟仲を回復させようとがんばる。

とうとう凪は自身で生み出した軍勢を率いて、希と同じオリジナルを持つ143体のクローンのうち、最後のひとりであるマーヤとともに、希たちの前に立ちふさがる。
互いに分断され、満身創痍の希と岬一。

はたして地球の未来はどうなるのだろうか。



<文・永田希>
書評家。サイト「Book News」運営。サイト「マンガHONZ」メンバー。書籍『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』『このマンガがすごい!2014』のアンケートにも回答しています。
Twitter:@nnnnnnnnnnn
Twitter:@n11books

単行本情報

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