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『hなhとA子の呪い』 第2巻 中野でいち 【日刊マンガガイド】

2017/02/07


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『hなhとA子の呪い』


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『hなhとA子の呪い』 第2巻
中野でいち 徳間書店 ¥680+税
(2017年1月13日発売)


けがれた性欲を嫌悪し、真実の愛を追い求める自称「純愛主義者」針辻真(はりつじ・まこと)は、ブライダル会社の若社長として順風満帆の人生を送っていたが、謎の少女・A子の登場によって生活が一変。悪霊然としたA子が見せる獣欲の幻想に振り回され、自身の「純愛」の裏に秘められた「性欲」の存在を否応なしに自覚させられていく針辻は、理想と現実の落差に苦しみ、ついには純愛を捧げようと誓った女性・南雲七海(なぐも・ななみ)さえも遠ざけてしまう……。

その高い完成度によって一部のマンガ愛好家たちの話題をさらった『十月桜』で知られる新鋭・中野でいち。性欲に対する罪悪感をテーマに描いた悲喜劇である最新作『hなhとA子の呪い』は、「肥大化した自意識による葛藤」という前作との共通項を持ちつつも、どこか老成した風にも見えた前作から一転して、自身のポップな絵柄や特徴的なコマ割りを最大限に活かしたエキセントリックな作風に変化しているのが見どころだ。

作中では「もはや俺にはあらゆる事が“エロい”か“逆にエロい”としか思えない……」など、一見するとギャグだとしか思えない強烈なセリフやシーンが連発されるものの、道化役である主人公・針辻の愚直なまでにいちずなキャラクター性や、プロットの巧みさによってそれをうまく昇華。
コミカルさとシリアスさのどちらにも偏りすぎない、奥行きのあるストーリーを成立させているのが興味深い。

完結編となる第2巻では、針辻の過去や、A子の正体など様々な伏線が明らかになっていくうえ、針辻の対となる「隷愛主義者」思想を持つ強烈なキャラクター・久慈愛喜(くじ・あいき)が登場するなど、物語は終点に向けてさらにヒートアップしていく。
愛欲に懊悩する哀れな男・針辻の迷走の旅はいかなる決着を迎えるのか?

これは愛なのか、それともただの欲なのか……人間である以上切っても切れない究極の難問。
このマンガを読んで、あなたも針辻といっしょに悩んでみてはいかがだろうか。



<文・一ノ瀬謹和>
涼しい部屋での読書を何よりも好む、もやし系ライター。マンガ以外では特撮ヒーロー関連の書籍で執筆することも。好きな怪獣戦艦はキングジョーグ。

単行本情報

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