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『人外さんの嫁』 第2巻 八坂アキヲ/相川有 【日刊マンガガイド】

2017/02/23


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『人外さんの嫁』


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『人外さんの嫁』 第2巻
八坂アキヲ/相川有 一迅社 ¥640+税
(2017年1月25日発売)


謎めいているがカワイイ生き物「人外さん」たちと、その「嫁」になった普通の高校生の異類婚夫婦コメディ4コマ。「嫁」といっても性別は問わず、男子多め(!)だが女子もいる。
「嫁」を選ぶ権利があるという、人外さんの形状や生態は多岐にわたる。

特に主人公である男子高校生・日ノ輪泊の夫・「カネノギ」さんは、そそる毛並みの持ち主でエロスならぬ「毛ロス」に満ちており、当初はとまどっていた泊も、そのモフモフ具合にすっかり夢中になっている。
ほかにも小柄でハゲやすい「フワ井」と明るく適当な火鞍川曽良、包帯姿で実体のない「ツキツカ」と押しかけ女房で独占欲の強い木齋橋壱屋、身の丈5メートルの大蛇だが手乗りのツチノコサイズにもなる「ラウヒェンエッカー」と巫女で一学年上の水小路依(女子)、2人で一人前のモノアイ双子「六と七」と生徒会長の土清世徹司、と個性豊かすぎる5組のカップルが出そろっている。

人外さんも交えてハロウィン満喫など、ひと味違う高校生活を送る「嫁」たち。
彼らの手探りの異種間交流や、相手の意外な面に気づいてさらにいとしく思う新婚生活が繰り広げられていく。この様子をながめるだけで、デトックス効果抜群なのだ。
唐突な結婚はかえって「タラレバ」がないからすがすがしいし、嫁たちは勝ち負けなど意識せず、ひたすら相手の喜ぶことだけを考える。夫の人外さんたちは素直で、妻の愛にこたえてくれる時のうれしさといったら!
特にカネノギさんは言葉を発さず、愛情表現は甘がみ、と意思の疎通が難しいタイプだが、泊をさりげなく心配したり守ったりする様子は、無口だが頼れる昭和の旦那様のよう。
また、嫁仲間たちの夫自慢にもほっこりする。自分の夫が一番! とのろけながら、カップル仲間の幸せも手助けする温かいつながりもうらやましい。

第2巻の表紙を飾るフワ井さんは外来種の植物、カネノギさんは廃材が主食と、人外さんたちは不要なものをおなかに収めてくれるらしい。「嫁」をとるシステムは、環境まで浄化しているのかも。
不思議なことはまだまだあるものの、泊とカネノギのイチャイチャ円満カップルに不穏な影が?
まあ、雨降ってなんとやら、になりそうな気しかしないのだが。



<文・和智永 妙>
「このマンガがすごい!」本誌やほかWeb記事などを手がけるライター、たまに編集ですが、しばらくは地方創生にかかわる家族に従い、伊豆修善寺での男児育てに時間を割いております。

単行本情報

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