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『君の膵臓をたべたい』 上巻 住野よる(作) 桐原いづみ(画) 【日刊マンガガイド】

2017/02/23


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『君の膵臓をたべたい』


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『君の膵臓をたべたい』 上巻
住野よる(作) 桐原いづみ(画) 双葉社 ¥650+税
(2017年2月10日発売)


一度聞いたら忘れられないタイトルだ。

「小説家になろう」に投稿されたジュブナイル小説のコミカライズ。
すでに「FeBe!」でオーディオブック化されており、今年の7月には実写映画が上映される。

クラスの人気者の少女・山内桜良(やまうち・さくら)。
名前のない主人公の「僕」はたまたま、病院で桜良が書いた「あと数年で死んじゃう」という文章を見てしまう。桜良は「僕」がそれを知ったことを見て「わはは」と笑ってから、「私は膵臓が使えなくなって あとちょっとで死にます」と告白した。
それを「ああ……そう」と流した「僕」。
人と積極的に関わりたいと願う自分と、正反対の彼を気に入った彼女。
病気のことはクラスのだれにもいっていない。
秘密を共有する「僕」とだけいっしょに、死ぬ前にやりたいことを次々実行する。

冒頭で、桜良の通夜が行われている。
ここからハッピーエンドに逆転することはない。
死ぬまでの間の物語だ。

桐原いづみの描く桜良の“笑顔力”がものすごい。
ニコニコした彼女を、ほとんどのページに描いている。コケティッシュで、みんなから愛されそうだ。
だがどうしてもその顔を見ると、本当なんだろうか、無理しているのではないか、と気にかかってしまう。

桜良はそれが嫌なのだ。
「僕」はほとんど桜良のプライバシーに踏みこまない。
なんとなくいっしょにいるけど、彼は病気のことを気づかうでも無視するでもない。
ときおり反応してくれるのが、彼女は楽しいらしい。
だから「仲良し」というラベルは貼っているものの、2人の関係は友人とか恋人とかのような言葉では説明できない、妙なものだ。

「僕」の名前は、桜良や周囲の人との距離感に応じて、リアルタイムで変化する。
「【地味なクラスメイト】」「【秘密を知ってるクラスメイト】」「【仲のいいクラスメイト】」「【仲良し】」。
病気と死という重い題材を扱ってはいるが、テーマになっているのは、相手とどう距離を持つか、という思春期の悩みのほうだ。
膵臓の病気の話も、現時点では「相手の秘密」という感覚で扱われている。
桜良がずっと笑顔なので、全体的に湿っぽさはない。

人に無関心な「僕」と、人に関心があるようでどこか欠如している桜良の関係は、下巻に向けてどんどん変わっていく。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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