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『このマンガがすごい!!comics 聖ロザリンド』 わたなべまさこ 【日刊マンガガイド】

2017/02/27


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『このマンガがすごい!!comics 聖ロザリンド』


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『このマンガがすごい!!comics 聖ロザリンド』
わたなべまさこ 宝島社 ¥1,400+税
(2017年2月27日発売)


知る人ぞ知るトラウマコミックとしてホラーファンにも名をはせる、少女マンガの巨匠・わたなべまさこの1973年発表の作品『聖ロザリンド』が、このたび復刊された。

人を疑うことを知らず育った、天使のように愛らしい8歳の少女・ロザリンドが、「私が死んだらこの時計をあげる→叔母さんがいなくなれば時計が貰える」といった無邪気な発想で次々に凶行を重ねてゆく様を描いた本作。よく「子供は無邪気で純粋」というが、それが狂った方向へ向かうとこんなに恐ろしいことに……とゾッとせずにいられない。

その凶行の方法がまた、首にバターを塗って○○に○○させたり、修道女らを神のみもとに行かせてあげようと○○にしたり、けがをした少女に輸血しようと○○○○したり。
少女マンガとは思えないほどエグく、著者独特のゴシックで優美な絵や世界観もあいまって、おどろおどろしい生理的恐怖をかきたてられる。

そんな残虐な行為も「噓をついてはいけない」、「困っている人に手を差し伸べよ」というカトリック教徒のママの教えを妄信する彼女にとっては「いいこと」であり、罪悪感はみじんもないのがまたコワイ!

だからこそ、彼女のたどった運命には思わず涙。読み終わったあとも「善悪ってなんだろう……」とモヤモヤさせられる、今でいう「イヤミス」としても極上の一作。

これを機会にぜひ、「オトナの土ドラ」あたりでドラマ化してほしいけど、さすがにコレを子どもに演じさせるのはキツイかなあ……。

ちなみに、今回目玉となるのが10ページの前日譚となる第0話。当時、先を急ぐあまり説明不足なところがあり後悔していたという著者が、復刊にあたりみずからの希望で新たに描きおろしたものだ。

ベテラン作家の場合、時代が変わるとタッチが変わりすぎていて正直ガッカリしてしまうことも少なくないが、わたなべまさこ先生の場合、パッと見にはほとんど違いがわからないことにも驚愕。
御歳87歳の入魂リベンジをじっくりと味わいたい。



<文・井口啓子>
ライター。月刊「ミーツリージョナル」(京阪神エルマガジン社)にて「おんな漫遊記」連載中。「音楽マンガガイドブック」(DU BOOKS)寄稿、リトルマガジン「上村一夫 愛の世界」編集発行。
Twitter:@superpop69

単行本情報

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