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『終活女子高生』 第2巻 津々巳あや 【日刊マンガガイド】

2017/03/03


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『終活女子高生』


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『終活女子高生』 第2巻
津々巳あや 芳文社 ¥619+税
(2017年2月7日発売)


最近売られている「エンディングノート」
死ぬ前に伝えたいことや連絡先、やっておきたいことを書く。簡易式の遺言状のようなものであり、目標日記に近いものだ。
女子高生の大泉律(おおいずみ・りつ)は、自称・余命1年。
エンディングノートに、やっておきたいことをびっちり書いている。
お墓選びから、友だちとクレープを食べたいという一般的な願望まで。
彼女の本気なのか冗談なのかわからない終活につきあわされる、藤沢沙羅(ふじさわ・さら)。
強そうな風貌のギャルな彼女、じつはお人好し。
めちゃくちゃな律のわがままを、ついつい聞いてしまう。

トンチキな言動をする律と、彼女に振り回されっぱなしの常識人沙羅のやりとりが楽しい4コマギャグ。テーマは死だが、基本明るい。
なにより、律の思考に「悔しい」、「悲しい」がほぼなく、「生きているならやれることやらなきゃ」とめちゃくちゃにポジティブ。

第1巻は、何やっても死ななさそうなタフな心身の律が描かれていたので、不安要素がまったくなかった。
だが2巻は完結巻。徐々に沙羅のなかに、不安が芽生えてくる。
律を見ていてふと、思う。
「コイツの「お墓参り」なんて想像したくねーよ」
「あとどれくらいこういう時間があるのかな……」

余命1年だったら、全力で何もかもやっておきたい、と感じるのはもっともだ。
そのために友人側が、何かしてあげたいと思うのもしかり。
ただ、人間だれしも「今年の夏」は一度きりだし、明日死んでしまう可能性だってある。
だれだって、日々悔いなく充実させようとあがいていいはずだ。

「終活」は後ろ向きなことじゃない。
毎日を最善なかたちで生き、まわりの人とせいいっぱい接し、あらゆることを楽しもうとすることだ。
最後どうなったかは、読んでみてほしい。
きっと結果よりも、2人の終活の日々の貴重さのほうが強く印象に残るはずだ。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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