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『瀧鷹之介の散歩時間』 第3巻 アサミ・マート 【日刊マンガガイド】

2017/03/08


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『瀧鷹之介の散歩時間』


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『瀧鷹之介の散歩時間』 第3巻
アサミ・マート 徳間書店 ¥620+税
(2017年2月13日発売)


髭を生やした初老の男性、瀧鷹之介(たき・たかのすけ)は、頻繁に散歩をする。
時計塔のある町。時計は持って歩かない。
大きな家にひとり暮らし。庭に水をやり、ベンチでゆっくり休む。
知らない道を選んで遠まわりする。目的地はない。

歩いていると、いろいろな女性と出会う。
見知らぬ父のことを考えている女性。ネコ団地に住む内気な少女。
いきいきと楽しそうに絵を描く女の子。やりてのキャリアウーマン。喫茶店のオーナー。
3巻では、今まで出会ってきた女性たちとの縁が、横にもいっきにつながっていく。

彼が社長だったことをほのめかす第1巻。その会社が、町をつくっていたことをにおわせる第2巻。
第3巻では、彼がこの町をなぜ開発していたのか、時計塔にはどのような思い入れがあるのか、彼のあとを継いだ会社がどうなったのかを、過去の出来事を交えながらはっきり明かしていく。
特に彼が髭をはやすことになった経緯から見える人間関係は、センチメンタルだ。

鷹之介の散歩は、はたから見るとても非効率的。
まったくゆいらがない、自分のペースで散歩をするので、出会った女性たちは彼といっしょにいることで、悩みがふんわり消えていく。
彼はどんな時も、笑顔だ。

セリフがいっさい入らない回などもある、叙情的な作品。
ちょっとレトロで、それでいて近代的な、不便と便利の入り混じった彼の作った町・虹海町(にじみちょう)。鷹之介の散歩はいったん終わってしまったが、この町はまたどこかで見てみたい。
この町を、1日中歩いてみたい。



<文・たまごまご>
ライター。女の子が殴りあったり愛しあったり殺しあったりくつろいだりするマンガを集め続けています。
「たまごまごごはん」

単行本情報

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