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【インタビュー】スケラッコ『盆の国』 「ずっと夏休みが終わらなきゃいいのに……」と思ったら、終わらないのは「お盆」!? お盆への興味が物語のはじまり!!

2017/08/15


人気漫画家のみなさんに“あの”マンガの製作秘話や、デビュー秘話などをインタビューする「このマンガがすごい!WEB」の大人気コーナー。

今回お話をうかがったのは、スケラッコ先生!

お盆の1日が繰り返される世界に閉じこめられた主人公・秋。世界をもとに戻すため、彼女は謎の青年・夏夫とともに、お盆の時期だけ見えるご先祖さまにあふれる京都の町を奔走する――。

SFファンタジーな物語世界に、お盆の風習・ご先祖さまの霊・盆踊り・時空を超えて解き放たれる魑魅魍魎……といった民俗学的要素がふんだんに盛りこまれ、ノスタルジックで摩訶不思議ながらも、ほっこりあたたかな魅力にあふれた『盆の国』。

昨年、トーチwebでの連載中からジワジワと話題を集め、単行本が発売されるやいなや大きな反響を巻き起こし、見事『このマンガがすごい!2017』オトコ編20位にランクイン!

今回はちょうどお盆ということで、『盆の国』作者のスケラッコ先生にインタビューを敢行! 『盆の国』の創作秘話に加え、現在トーチwebで連載中のこれまた夏にピッタリのほんわか妖怪物語『平太郎に怖いものはない』についても、お話を伺いました!

飄々と心地よくも味わい深い余韻を残す、スケラッコ・ワールドをお盆の今、日常と地続きにある不思議な世界に思いを馳せながら味わってみてはいかが?

著者:スケラッコ

京都在住。
初の商業単行本マンガ『盆の国』(リイド社)が、『このマンガがすごい!2017』オトコ編第20位にランクイン。
現在は、リイド社の新感覚マンガ&カルチャーサイト「トーチweb」にて『平太郎に怖いものはない』、芳文社「いただきマス幸せごはん」にて「しょうゆさし」のご飯マンガを連載中。

当時はそんなにお盆を意識してなかったけど……
『盆の国』が生まれるまで!!

――『盆の国』は、どのようにして生まれた作品なのでしょう?

スケラッコ もともと盆踊りが好きで、お盆の雰囲気や、その時期だけ亡くなった方が帰ってくる、という考え方も好きだったので、お盆をテーマにしたマンガを描きたいなと思ったんです。主人公は子どもと大人のはざまの年齢の女の子がいいなと思って、私自身、特殊な能力を持っている人に憧れがあったので「お盆の時期だけご先祖さまの姿が見える」という設定になりました。

――おしょらいさん(ご先祖さま)が町のあちこちに蠢く光景がキミョかわいくて楽しいです。おしょらいさまを人間ではなく、ゆるキャラとか妖怪のような造形にしたのはなぜでしょう?

スケラッコ 町にたくさんおしょらいさんがいる様子を描きたいと思って。人の姿よりは妖怪っぽいほうが楽しい、しかも同じかたちではなく、いろんな造形があったほうが楽しい、と思ってこうなりました。

お盆の1日が繰り返される町には、おしょらいさんがいっぱい! ちょっと奇妙でかわいい!!

お盆の1日が繰り返される町には、おしょらいさまがいっぱい! ちょっと奇妙でかわいい!!


――「お盆の1日を繰り返す」という設定はタイムリープSFの定番でもありますが、「ずっとこのままでいたい」という夏休みの終わりのムードや思春期の少女の心情とマッチして引きこまれます。

スケラッコ SFはあまりくわしくはないのですが、「ずっとお盆のままのお話」をつくりたかったので、結果、こうなりました。

――「お盆」という風習自体、昨今では忘れられかけているだけに魅力的です。作中では夏野菜で牛や馬をつくったり、路傍のお地蔵さんにお供えをしたり、古きよき日本の風習や「死者」とか「あの世」といった非日常が、少女の日常にごく自然に根付いたかたちで描かれていてハッとさせられます。

スケラッコ 私自身、子どもの頃はお盆というと夏休みの一部というくらいで、特別なことはしませんでしたね。大人になってから興味を抱くようになりました。

おしょらいさんが乗るのはきゅうりの馬! 日本古来からのお盆の風習が作中に息づいている。

おしょらいさんが乗るのはきゅうりの馬! 日本古来からのお盆の風習が作中に息づいている。


――お盆にかぎらず、お祭り、夕立、花火、冷たい麺、スイカ……といった「日本の夏の風物詩」の描写もいいですよね。

スケラッコ 暑いのは苦手なのですが、そういった夏のモチーフは魅力的に感じるんですよね。なぜか夏が近づくと気分が盛り上がります。

作中に登場する秋のイラスト。風景だけでなく、冷た~い麺など、食べものも夏を感じさせるものばかり!

作中に登場する秋のイラスト。風景だけでなく、冷た~い麺など、食べものも夏を感じさせるものばかり!


――本作の妖怪キャラやお盆に対するアプローチには、スケラッコ先生の民俗学的なものへの造詣が伺えるのですが…。

スケラッコ そうですね。民俗学的なものは個人的に好きで、うまくいえないのですが、たとえば民俗学の本などを読んでいると、遠く離れた地域でも同じような話があったりして、おもしろいなあと思います。

――本作の舞台は京都で、盆地特有のうだるような暑さと路地や自然の趣きある風景が「あの世とこの世がまじりあう物語世界」と見事にマッチしています。スケラッコ先生は現在京都にお住まいですが、本作はやはり京都だからこそ描けた作品なのでしょうか?

スケラッコ はい。お盆を意識したのは京都に来てからで、やはり五山の送り火があるからだと思います。京都でお盆を過ごすことがなければ『盆の国』も描いていなかったのではないでしょうか。 京都は鴨川があって、東山が見えるところが好きです。

――ちなみにスケラッコ先生は盆踊り愛好家だそうですね。

スケラッコ そうなんです。近所の路地で小さな盆踊りに遭遇したのがきっかけで好きになって。そこで踊られていたのは滋賀県を中心に近畿一帯で踊られている「江州音頭」という踊りなんですが、その後、大阪の「河内音頭」にも興味を持って。去年は岐阜県郡上市で開催されている、日本三大民謡に数えられる「郡上おどり」に行って興奮したので、ぜひ今年も行きたいですね。

作中の盆踊りシーン。Kindle版では連載時のカラー版のイラストを楽しむことができる。

作中の盆踊りシーン。Kindle版では連載時のカラー版のイラストを楽しむことができる。


――本作は、ひと夏の淡い恋物語であり、少女が不思議な体験を通して、少しだけ大人になる「青春ジュブナイル」でもあります。そういった要素を描きたいという思いはありましたか?

スケラッコ 「青春ジュブナイル」という言葉は知らなかったのですが、子どもと大人のはざまの年齢の女の子を描きたかったので、自然にそうなった感じでしょうか。自分のなかでは特にそういったジャンルやカテゴリとは関係なく「エンドレス・サマー」という感覚で描いていました。

――物語の冒頭でヒロインが友だちとケンカして仲直りしたいけどできない……みたいな描写もリアルで甘酸っぱいです。まわりはどんどん変わっていくのに自分は変われない、変わりたくない、といったヒロインの心情はスケラッコ先生自身の体験でもあるのでしょうか?

スケラッコ 中学生の頃の記憶がほとんどないのですが…。もしかしたらそうなのかもしれませんね。

主人公の秋は、親友のミサっちとちょっとしたすれ違いをしたまま夏休みに。 だれもが経験する青春時代の1ページが、ノスタルジーをかきたてるのかも。

主人公の秋は、親友のミサっちとちょっとしたすれ違いをしたまま夏休みに。
だれもが経験する青春時代の1ページが、ノスタルジーをかきたてるのかも。

単行本情報

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