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ゆうきまさみ『白暮のクロニクル』インタビュー【中編】 ラストはもう決まってる!? ゆうき流マンガ創作術に迫る!!

2015/05/04


ついに最新刊も発売された『白暮のクロニクル』。インタビュー中編では、そんな『白暮のクロニクル』について、ゆうき先生から衝撃的な発言も飛び出した! デビューから30年以上、第一線を走り続けるゆうきまさみ先生。
幅広い世代から愛されるゆうき作品はどのように生まれるのか?

前編はコチラ!
ゆうきまさみ『白暮のクロニクル』インタビュー【前編】 画業30年を越えて初挑戦のミステリーは、計算しないで描いている!?
後編はコチラ!
ゆうきまさみ『白暮のクロニクル』インタビュー【後編】 気づいたら『白クロ』にもBLテイストが……。超話題作『でぃす×こみ』制作秘話!

ゆうきまさみ

北海道生まれ。

1980年、『ざ・ライバル』でデビュー。『究極超人あ~る』『機動警察パトレイバー』『じゃじゃ馬グルーミン★UP!』など代表作多数。

現在、「週刊ビッグコミックスピリッツ」にて『白暮のクロニクル』を、「月刊スピリッツ」にて『でぃす×こみ』を連載中。

公式サイト:「ゆうきまさみのにげちゃだめかな?」
Twitter:@masyuuki

ラストははじめから決まってる? ゆうき流、作品の作りかた

――キャラクターや設定とストーリー、どれから考えるんですか?

ゆうき ぼくの場合はほぼ同時です。だいたいの場合、キャラクターとお話は同時に思いつきます。

――不可分?

ゆうき うん。まぁ、そうなのかな。

――お話は、かなり先までもう決まっています?

ゆうき ラストシーンは決まっていますよ。

――え! そうなんですか?

ゆうき ぼくね、ラストシーンは最初の頃に思いつくんですよ。『鉄腕バーディーEVOLUTION』にしても、エピローグのラストのセリフはね、あれ描き始めた時に決めていたの(笑)

ゆうき先生の口から飛び出した衝撃発言!! すでにラストシーンが決まっているなんて!?

ゆうき先生の口から飛び出した衝撃発言!! すでにラストシーンが決まっているなんて!?


――へええ、そうなんですかぁ!

ゆうき まあ、最初の『究極超人あ~る』[注1]は、さすがに連載を描きながら考えていきましたけど、『じゃじゃ馬グルーミン★UP!』[注2]の時も何年後かの日本ダービーで終わろうと、最初から決めていた。

――それは、「こういう終わらせかたをしよう」という設定ではなく、もっと具体的に「こういうラストシーンを描こう」と明確な絵が浮かんでいるわけですか?

ゆうき そうですね。『機動警察パトレイバー』[注3]は、最初から「1号機起こせ――!!」「チュイイイン」で終わらせるつもりでしたから。

『機動警察パトレイバー』のラストシーン。青空が印象的なシーンでさわやかな読後感。このラストも最初から決まっていたって、……少し納得。

『機動警察パトレイバー』のラストシーン。青空が印象的なシーンでさわやかな読後感。このラストも最初から決まっていたって、……少し納得。

――週刊連載でラストが決まっているって、すごいですね。

ゆうき そうなのかな? でも、そこに向かって描いていく方向みたいなものが定まっていないと、やっていけないんですよ。それでね、ラストシーンが思い浮かばないまま描き始めたのが『パンゲアの娘 KUNIE』[注4]

――ははあ。

ゆうき 『KUNIE』の時は、明確なラストというよりは、もうちょっと漠然としたかたちしかなかったんですね。それでちょっと迷走しちゃった。

――『白暮のクロニクル』のラストシーンは、まだ描いてはないですよね?

ゆうき 描いてはないですよ。いや、もちろん変えざるをえなくなれば変えます。幸いうまくいった作品は、変えずにすんでいるんですけどね。でもねぇ、ラストは変わらなくても、途中経過はかなり変わっちゃうんですよ。

――というと?

ゆうき 『パトレイバー』を一例にしますとね、廃棄物13号の話を描く前は「怪獣ものをやるんだし、自衛隊による追撃戦があったらカッコいいよなぁ」とか「よし、葛西臨海公園を火の海にしよう!」とか思うわけ(笑)。で、ちょっとしたイメージを絵に描くんですよ。あとは、そこに向かって進めていけばいいかな、と思うんだけど、キャラクターがそんな方向には絶対にさせてくれないんですよ。


――キャラクターが!

ゆうき 司々[注5]がそんなことは絶対にさせないという決意で行動してますからね。

――キャラクターたちが、火の海にしないように動く。

ゆうき ええ、ええ(笑)。それで新木場封じ込め作戦が採用されたんです。

――そういうこともありうるんですね。

ゆうき ありうるというか、だいたいのエピソードがそんな感じです。「ここに行くだろう」と考えた場所に行ったことがない。とにかく目を引くような派手な展開にしようとすると、キャラクターがやらしてくれない。

――先生の描くキャラクターだと、そうなっちゃうんですかね?

ゆうき なんかそうなっちゃう。それでね、なにか事件を起こさせようとすると、大ポカがないとダメだろうな、って思うんですよ。でもね、現実では信じられないような大ポカは起きるんだけど、それをマンガで描くと「ウソでー!」みたいになっちゃう。

――ああ、ご都合主義に思われちゃう。

ゆうき ええ。だからマンガとかフィクションって、悪役を用意するんだと思います。悪役とかトラブルメーカーを。見てると殴りたくなるようなヤツをね(笑)

――ゆうき先生の作品だと、完全な悪役って少ないですよね?

ゆうき 『パトレイバー』の内海くらいですかね。あれは自分のことがかわいいだけですから。『白暮のクロニクル』に関しては、「羊殺し」というのを設定しているんですけども、あれは年がら年中事件を起こしているわけじゃないんです。

――12年に1回だけ。

ゆうき 話を駆動していくには弱い。なので、今は市井で起きる事件を扱っていますけど、まあ、いずれ大きな対決はあると思いますよ。

12年に1度だけ起こるとても気の長い連続殺人事件「羊殺し」。雪村が犯人を恨む裏には悲しく苦い恋物語が。

12年に1度だけ起こるとても気の長い連続殺人事件「羊殺し」。雪村が犯人を恨む裏には悲しく苦い恋物語が。



  • 注1 『究極超人あ~る』 1985~87年に「週刊少年サンデー」に連載された、ゆうきまさみの作品。アンドロイドのR・田中一郎が所属する光画部(一般的には写真部)の部員やOBによるドタバタ学園コメディ。『鉄腕バーディー』(オリジナル版)の連載終了後に開始された。ちなみに、登場人物のひとりである「鳥坂先輩」のモデルとなった人物は、「いまウチでマネージャーのようなことをやってくれてます」(ゆうき)とのこと。
  • 注2 『じゃじゃ馬グルーミン★UP!』 1994~2000年に「週刊少年サンデー」(小学館)に連載された、競馬を題材とするゆうきまさみの作品。都内の有名私立高校に通う主人公・久世駿平は、北海道にツーリングに行った際の出来事をきっかけに、サラブレッドの生産牧場である度会牧場で働くことになる。
  • 注3 『機動警察パトレイバー』 1988~94年に「週刊少年サンデー」(小学館)に連載された、ゆうきまさみの近未来SF。1998年(連載時では近未来)の東京を舞台に、警視庁は特殊二課を設立し、パトロール用のレイバー(多足歩行型作業機械)「パトレイバー」を配備。特車二課に配属された主人公・泉野明はパトレイバーを駆り、レイバーを用いた犯罪を取り締まる。
  • 注4 『パンゲアの娘 KUNIE』 2001~02年に「週刊少年サンデー」(小学館)に連載された、ゆうきまさみの現代ファンタジー。日本の小学生・日向陽のもとに、ある日突然、南国のカラバオから少女・クニエが嫁いでくる。クニエが持ってきた卵からは、首長竜が孵化するのであった。
  • 注5 司々 つかさつかさ。官々とも。役所の各官庁や各省庁のこと。各部署がそれぞれの職務を遂行することを、「司々で対応する」「司々で進める」といった言いかたをする。

単行本情報

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  • 『白暮のクロニクル』第3巻 Amazonで購入
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  • 『白暮のクロニクル』第5巻 Amazonで購入
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