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『トクサツガガガ』丹羽庭インタビュー ディープな趣味世界に生きる“特オタ女子”の描写は「ひとつの視点に偏らない!」からこそ生まれた!!

2016/06/20


ロボ・怪人・ヒーローショー・俳優……特撮の魅力は千差万別

──登場するキャラクターは、連載開始時点ではどの程度決められていたんでしょう?

丹羽 最初は読み切り作品として描いていて、その話では主人公が吉田さんと出会うまでの話だったんです。そのストーリーを3話に分けたのが物語の始まりのところなので、4話以降は描きながら考えたというのが実情で……。

──個人的には、“最初は敵として姿を見せる追加戦士[注2]”のように登場した北代さんが、過去エピソードも含めて熱かったです(笑)。正直、かなり限定されたジャンルのネタで、よく週刊連載が続いているなという感もあるのですが。

最初は主人公たちと敵対する人物として姿を見せた、『ジュウショウワン』の追加戦士・セロトルことレイ……に仲村さんのなかでイメージが重ねられる、同じ会社で働く北代さん。

最初は主人公たちと敵対する人物として姿を見せた、『ジュウショウワン』の追加戦士・セロトルことレイ……に仲村さんのなかでイメージが重ねられる、同じ会社で働く北代さん。

丹羽 私も連載するとしても月刊ペースのつもりだったので、「週刊は絶対に嫌です!」って言ってたんですけどね。いまだに毎回、どうしよう、どうしようって感じです。

──担当編集さんとしては、「週刊連載でいける!」という判断だったんでしょうか?

担当 ネームを拝見したとき、とてもおもしろかったので、なんとか週刊でお願いしたいということで。私自身はあまりこのジャンル(特撮ヒーロー作品)に詳しいわけではないので、お話作りから劇中作のデザインまで、丹羽先生ひとりにおまかせしておりまして、それをひたすら見守っているという状態なんですが(笑)。

──でも、担当の編集者さんまで特撮ファンだと、ともすれば「オタクあるある」だけに陥ってしまいそうなんですが、幸いそれが回避されている気もしますね。

丹羽 あの……私もそんなにメチャクチャ詳しいわけではないんですよ(一同笑)。でも、特撮ファン的には常識ってことでも「これは一般の人にはわからないな」ってところは(担当さんに)ジャッジしていただけてるので、そこは非常に助かっています。

──ところで作中の序盤では、わりと“ヒーローショー[注3]推し”だったんですけど、ひと口に特オタといってもいろんなジャンルがある中で、そこをチョイスされた理由は?

丹羽 読み切りとして描いていた時点で、ヒーローショーというのが「実際に見てすごい」というのが伝わりやすいかなと思ってそうしました。あとはそういう作劇上の都合だけじゃなくて、ヒーローショーのスーツアクター[注4]さんのことを「あれはバイトだよ」って軽く見る風潮が一部ではあることに「そうじゃない!」って言いたかったのもありますけどね。

一見、ホンモノ(テレビ番組のなかのキャラクター)とは異なるヒーローショーのトライガーだが……。

一見、ホンモノ(テレビ番組のなかのキャラクター)とは異なるヒーローショーのトライガーだが……。

──特撮ファンの女性ですと、スーツアクターさんに注目されてる人々も多いわけですけれど。

丹羽 番組内で実際にスーツアクターを担当されている方の気持ちは、この(『トクサツガガガ』の)形式では代弁することができませんからね。なので、あくまでいちファンとして目が届く範囲のことを描くという意味でも、ヒーローショーは多く取り上げています。

──実際にこのジャンルの女性ファンに接すると、仲村さんのようにロボや怪人にも愛着を持って作品に接している人はかなり貴重だなというのが実感としてあったりするんですが……(笑)。もちろん、まったくいないわけではないんですけどね。

丹羽 私はむしろ、そこが好きなんですけどね!(笑) でもたしかに、ふた言めには「どの俳優が好き?」と訊かれることは多いです。でも、だからといって俳優で追っかけることを否定するつもりはまったくなくて。俳優さんを追うことで見えてくることも、たくさんありますから。

──まぁ、「特撮の女性ファンはイケメン目当てだけ」なんていう偏見は、いまだに一部にあると思います。

丹羽 そういう極論で言われても……って思いますよね。これは男性女性に限った話じゃなくて、たとえばロボやスーツが好きな人だって、ずっとそこだけ見てるわけじゃないじゃないですか。お話の展開で熱くなることもあれば、役者さんの演技でグッときたり、デザイン的なところで「おぉっ」と思うときもあったり、そうやって総合的に見て楽しんでると思うんです。

──たしかに、どんな部分に興味を持っている人でも、自分の好きな場所だけをずっと見ている、ということは少ないでしょうね。

丹羽 私自身も俳優さんに興味がないわけじゃなくて、番組で興味を持った方がいれば、過去の出演作まで追っかけて見たりということもありましたから。

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センシティブな題材を扱う上でのバランス感覚についての考えから、ロボ・怪人・ヒーローショー推しの理由についても話題が飛び出た、今回のインタビュー。次回はさらに「現実の特撮ヒーロー番組」についての質問も! 丹羽先生が特撮ヒーロー番組を再び見始めるきっかけとなった作品とは?

そんな『トクサツガガガ』の最新単行本7巻は、6月30日に発売予定! 今回のインタビュー&近日公開予定のインタビュー第2弾を読んで、単行本発売を待とう!


  • [注2]追加戦士 「スーパー戦隊」シリーズなどで、物語の途中から登場し、最終的に主人公たちの仲間となる戦士のこと。当初は敵組織の一員であったり、第3勢力として暗躍するなど、敵やライバル的な存在として登場するケースも多い。
  • [注3]ヒーローショー キャラクターショーとも。遊園地・デパート・ショッピングモール・イベント会場などで、ヒーロー番組のキャラクターのスーツを使って催される、子ども向きのショー。大がかりなセットや特殊効果を用いる大規模なものや、番組で変身前を演じている俳優(いわゆる「素顔の戦士たち」)が参加するもの、オリジナルキャラクターが登場するものなどもあるため、注目するファンの数は多い。
  • [注4]スーツアクター キャラクターのスーツ(着ぐるみ・ぬいぐるみ)を着用して、撮影やショーなどでアクションやスタントを含む演技を行う俳優の呼称。

取材・構成:大黒秀一

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