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【インタビュー】『はたらく細胞』清水茜インタビュー 細胞×擬人化×ヒーローアクションで大ブレイク! ……でも好きなキャラは敵役や小物!?

2016/11/29


お気に入りキャラのキーワードは「小者」?

――『はたらく細胞』って、背景めちゃくちゃ描きこまれているじゃないですか。当たり前のこと聞くようですけど、やっぱり描くのがお好き?

清水 ええ、はい(笑)。

 

――でも、体のなかって空想の世界じゃないですか。それでもすごく細かく描きこまれてらっしゃる。どういったところから着想を得たのでしょうか?

清水 たとえば肺は空気が行き来しているから、風がたくさん吹いているところ、というイメージで描いてます。

 

――体の機能からヒントを得ているということですか?

清水 わりとそうですね。運河の上に橋があるところなんかは、自分の想像で「こういうところがあったらいいなぁ」と、空想の世界です。

 
細胞のなかってこんな感じ!? 清水先生の頭のなかの「世界」を具現化する手腕にあっぱれ。

細胞のなかってこんな感じ!? 清水先生の頭のなかの「世界」を具現化する手腕にあっぱれ。

――モデルにするものはあるんですか?

清水 肺のところは空港をモデルにしてます。とにかく大きい建物に、大きい通路。

 
絵からも、空気の入れ替わりが行われているように感じられる肺。「こちらは左肺」などの、細かな注意書きも楽しい。

絵からも、空気の入れ替わりが行われているように感じられる肺。「こちらは左肺」などの、細かな注意書きも楽しい。

――一番描いていて楽しいのは、どういったところですか?

清水 キャラクターの動きが、すごい楽しいです。

 

――それは、アクション的な意味で?

清水 それもあるんですけど、白血球が他人とちょっと違うことをしていて、それを絵にするのが楽しいです。4巻で白血球が曲がり角からひょいと出てきて、遠くに赤血球がいることに気づくシーンがあるんですが、普通に出てきたんじゃおもしろくないので、壁にある四角い穴から前転でくるっと回転しながら出てくるようにしたんですけど、そういうのを考えるのがすごい楽しいです。

 

――巻を追うごとに、だんだん白血球の動きが活発になっていく印書があります。最初は、うまく動いてくれなかった?

清水 いえ、動きはしてくれたんですけど、この人(白血球)の倫理観とか道徳みたいなものが、私のほうで全然理解できてなくて。みんなのためにがんばるとか、美学みたいなものですね。だから最初の頃は、白血球をクライマックスで活躍させてあげられなかったんです。だから、3巻の表紙みたいな表情とかもそうなんですけど、1コマ1コマではすごく活き活きと動いてくれるんですが、長いお話のなかではちょっと……という感じでした。

 

――キャラをかっこよく描こう、と工夫していることは?

清水 この細胞をかっこよくしようとかは、とくに考えていなかったんですが、キャラが性格づけされた時に、たとえばNK細胞はこういう性格になったとか、マクロファージはこういう性格になったという時に、できるならかっこよくしてやろう、と。
モブの細胞君とかはあんまりそういう機会はないんですけど、小市民なりに楽しくやっているという方向で強化できるので、家の間取りとかも考えて、生活感を出せる方向性に強化してがんばって描いてます。

おっとりしたお嬢様のようなかわいらしい見た目をしているが、かなり殺傷能力が高い!

おっとりしたお嬢様のようなかわいらしい見た目をしているが、かなり殺傷能力が高い!

――お気に入りのシーンはどこですか?

清水 2巻の第6話で、セレウス菌が「涼しいところで衣服をゆるめて安静にしてな!」っていうところです。

セリフ、見た目からして小物感あふれるセレウス菌。

セリフ、見た目からして小物感あふれるセレウス菌。

――それはなぜ?

清水 「こいつ、いいやつだな」って。あと、その直後の、白血球が崖から落ちていったか確認するところも好きです。

 
白血球の行方を見守ったりと、なんだか憎めない悪(?)役なセレウス菌。

白血球の行方を見守ったりと、なんだか憎めない悪(?)役なセレウス菌。

――へぇー……、いや、すいません「なんでここ?」って思っちゃったんですけど、どうしてでしょう?

清水 そうですよね(笑)。なんか小者感が出ているので好きなんです。正義の味方はちゃんとかっこよくしないといけないし、勝たなきゃいけないとか、義務がたくさんあるんですけど、こういう小者の悪役は何やってもいい、みたいなところがありますからね。

 

――性格的にご自分に似ているキャラというのはいます?

清水 えっと、兄妹に対してはNK細胞が一番似てる、かな……。

 
先生のご兄妹に似ていらっしゃる、姉後肌なNK細胞。女性にモテそうだ。

先生のご兄妹に似ていらっしゃる、姉後肌なNK細胞。女性にモテそうだ。

――けっこう強く当たるんですね(笑)。

清水 からかって意地悪したりします(笑)。

 

――お気に入りのキャラはいますか?

清水 敵役になっちゃうんですけど、セレウス菌とウイルス感染細胞。あとウイルス感染細胞といっしょになっていたずらしていた細胞君です。行動原理が「怒られたくない」みたいなところがすごい好きです。

 

――先生、小者好きですね?

清水 そうですね、人間っぽいので(笑)。

『はたらく細胞』第4巻は、11月30日発売!

『はたらく細胞』第4巻は、11月30日発売!

次回は、最新4巻の見どころと、まさかの『ドカベン』不知火と本作の深い関係(!)について、うかがいます。12月更新予定なのでお楽しみに!

取材・構成:加山竜司

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