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第7回『このマンガがすごい!』大賞 受賞記念インタビュー 歩『ECHOES』 感じ続けた性への違和感。でもそれを、特別なものとして描きたくなかった

2016/12/16


ゆくゆくはカメレオン作家になることを目指しています!

――専門学校でアナログのよさを知ったとおっしゃっていましたが、塗りの部分は全部水彩なんですよね。

 ふつうの黒い絵の具を薄めて塗っています。もともとこの作品をカラーで描こうとしていたせいもあって……トーンはほとんど使ったことがないんです。

――おそろしく時間がかかるのでは? 服の影といい背景といいすごく多彩なグラデーションがあってこれを絵の具1種で使い分けるってすごいですよ。

 思うような表現をするには、今のところは水彩のほうが早いんですよ。トーンでこれをやろうとしたらそうとう練習しないと。床の反射とかにもこだわりたいので。

床の反射にもこだわった背景にも注目してほしい!

床の反射にもこだわった背景にも注目してほしい!

――体育館の情景、キューンときます! 人のいない体育館のひんやりした空気とか、あの独特の質感が伝わって。ボールが床を打つ音も聞こえてくるようです。もっともっと『ECHOES』の続きも読みたいです。

 ぼくももちろん描きたいですよ。いろいろと考えてます! まあほかにも描きたいものはたくさんあるんですけど。中学時代に考えたファンタジーもちゃんと描きたいし、動物が主人公の作品とか、大正時代が舞台のものとか……。

――かなり幅広いですね。

 ゆくゆくはカメレオン作家になりたいんです。イメージイラストみたいな一枚絵を描いてみて……そうするとキャラクターの像がだんだんできていく。そこからどんどん想像を広げて物語を発展させていくことが多いです。

――『ECHOES』が大長編の構想があると聞いていたので、しばらくこれ一筋で行くのかなと思っていました。

 もちろん自分にとって特別な作品であることは確かです。自分のなかで一番強い光を放っていて、自分が描かなくてはという思いに駆られたのがこれですから。きっと、こんな作品を待っている人がいるだろうとも思えました。

――1冊描き上げての感想はいかがですか?

echoes

 いまだに信じられないですね……。かたちになった実感はあるのですが、人に届いてこれからどうなるんだろうという不安と楽しみがごっちゃに渦巻いています! とりあえずは両親に送りました。

――最後に、あらためて受賞おめでとうございます。これからの作品にも期待しています!

取材・構成:粟生こずえ

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