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【インタビュー】 巨人の次に来るのは巨大女子!? 『富士山さんは思春期』 オジロマコト 【前編】

2014/06/02


主人公・牧央の魅力

――『このマンガがすごい!2014』のアンケートでは「牧央、かわいい」というリアクションが多かったです。オジロ先生のなかで、「こういう女の子がかわいい」というこだわりはあるのでしょうか?

オジロ 雑誌などを読んでいて「いい顔だな」って思ったものはスクラップしてます。

――それはネタ帳みたいなもの?

オジロ そうですね。

――具体的には、どのような人でしょうか。

オジロ あんまり具体名はないんです。「いい表情だな」って思ったものをスクラップしているので、 特定の誰かというわけじゃないんですね。強いてあげるなら、最近だと能年玲奈[注4]さんとか。

――『あまちゃん』[注5]ですね。

オジロ いい顔だなぁ、って思います。あんな顔が描けたら、もっと売れるんじゃないかなぁと(笑)。

――顔の造作というよりは、表情を観察しているわけですね。 たしかにオジロ先生の描くキャラは表情が豊かで魅力的です。

オジロ ギャグ顔……ってわけじゃないけど、メインじゃないコマでのちょっと抜けた表情とか、テレた顔とかありますよね。そういうところをかわいく見てもらえたらな、ってがんばって描いてます。

富士山さんのテレ顔やギャグ顔は、随所に見られる。

富士山さんのテレ顔やギャグ顔は、随所に見られる。

双葉社の“仕掛け”

――コミックス発売時に、富士山さんの等身大パネル[注6]が書店に展示されました。

担当 小冊子にイラストカード、販促もいろいろありますが、全部をやるのは現実的には難しいです。じゃあ『富士山さんは思春期』なら何をやるか、なんですね。

――そこでチョイスしたのが、181cmという富士山さんの身長を活かすことですね。

担当 そうなんです。ほかのマンガだと、パネルを作ってもさほどインパクトはないんですけど、富士山さんと背比べできるってアイデアは、馬鹿馬鹿しくていいなぁ、と。

オジロ 最初、(担当さんが)「自分で作る」って言ってましたよね?

担当 はい。自分で材料を買ってきて。発泡スチロールから型を切り出して、 プリンタで出力したものを貼り付けて作っていたんですけど、どうにも貧乏くさいんですね。 それで、ちゃんとした業者さんにお願いすることにしたんです。

オジロ お店に見にいったら、かなりシッカリしたものだったのでビックリしました。

――等身大と対面して、いかがでした?

オジロ 181cmって大っきいなぁ、と思いましたね(笑)。写真撮りました。

――ほかにも本作の場合、コミックスにいろいろと仕掛けがあります。奥付がミニマンガになっている[注7]のも特徴的です。

マンガのなかに発行者などに関する情報や、ISBN コードなどが入り込む「奥付マンガ」。

マンガのなかに発行者などに関する情報や、ISBN コードなどが入り込む「奥付マンガ」。

オジロ 1巻のものは、没になったネームをそのまま使っているんです。 2巻からは、コレ用にあたらしくネームから描いてます。

――これ正直な話、いろいろ問題があったんじゃないですか?

担当 そうです。じつは1巻は会社に内緒でやっちゃったんです(笑)。 発売後に「やっちゃったもんはしょうがないですけど、次からはやめてね」って会社からは言われたんですけど、1巻でやれたことなんだから次もいけるだろう、と。

――マンガ出版の関係者のなかでは、結構話題になりました。

担当 他社の編集者さんやデザイナーさんからも「やられた!」ってすごく言われました。

――各話のサブタイトルですが……。

担当 気づいてもらえました?

――全部「き」で終わってますね。これはすべて担当さんのほうで決めているんですか?

担当 そうなんです、苦労しているのになかなか気づいてもらえなくて。

オジロ 私も結構あとに気づきました。「ああ、そろえてるんだ」って。

――担当さんのご苦労の割りに、リアクションが薄いですね(笑)。

担当 とにかく手にとってさえもらえれば、おもしろいと言ってもらえると思っていますからね。いろいろ工夫しています。

オジロ 私はあんまりいろいろやりたくないほうなんです(笑)。はじめはなんでも楽しくできるんですけど、1巻でやるとそのまま2巻、3巻でもやらなきゃいけなくなるじゃないですか。 まあ、『富士山さん』に関しては、今のところ楽しくやらせてもらってますけどね。

  • [注4]能年玲奈 レプロエンタテインメント所属のファッションモデル、女優。2013年に大ヒットを記録したNHKの連続テレビ小説『あまちゃん』のヒロイン・天野アキ役を演じ、国民的女優に。『ホットロード』(紡木たく)や『海月姫』(東村アキコ)といったマンガ原作の映画での主演も決まっており、マンガ好きとしても見逃せない存在。
  • [注5]『あまちゃん』 2013年に全国を席巻したNHKのテレビドラマ。脚本は宮藤官九郎。数々の賞を受賞し、Twitter上では番組内のシーンなどをイラストを投稿する「あまちゃん絵祭り」(あま絵祭り)と称されたブームも起き、江口寿史先生や末次由紀先生などプロの漫画家も多数参加している。
  • [注6]富士山さんの等身大パネル コミックス1巻発売時に、一部書店の店頭に飾られた等身大パネル。このパネルに使われたイラストは、1巻のカバー裏側にも使われている。
  • [注7]奥付 書籍やマンガの主に巻末に設けられる、発行者などに関する情報やISBNコードなどが記述されるページ。『富士山さんは思春期』では、巻末のマンガのコマの中にそれらの情報が入り込んでいる。

後編はコチラ!
【インタビュー】大きな女の子とコタツでなにする? 『富士山さんは思春期』 オジロマコト 先生【後編】

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取材・構成:加山竜司

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