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【インタビュー】卯月妙子『人間仮免中つづき』 統合失調症からの顔面崩壊!! 衝撃の前作『人間仮免中』の『つづき』が描かれた!

2017/01/17


前作からの変化は、姿勢だけじゃない!
『つづき』のポイントは「マンガ」!!

──先ほどの「生きることがネタ」という言葉が表すように、卯月さんは以前から「実際に体験したことしか描けない」といわれていますが。

卯月 あ、でも『新家族計画』は創作なんですよ。実体験がもとにはなってるけど、ちゃんと設定やストーリーをつくって、完全な創作物として描き始めたんですけど、創作って難しくて。ストーリーに飲みこまれたり、キャラクターに潰されたり、ついには感情移入しすぎて頭がおかしくなって入院してしまったので、もうダメだなと。
その点、実録だと対象が生きてるぶんコントロールを放棄できるからラクなんですね。自分のことを描くぶんには、別にどう思われてもいいわけだし。自分が恥をかけば、とりあえず笑ってもらえるので。

ユニットバスあるある……? こんなエピソードもマンガにしてしまう卯月先生。

ユニットバスあるある……? こんなエピソードもマンガにしてしまう卯月先生。

──卯月さんのマンガって、私生活の垂れ流しとも取られかねないけど、じつは、めちゃくちゃサービス精神の産物ですよね。笑ってもらいたい欲求は強い?

卯月 強いですね。ホステスやってた時も、君はホステスじゃない、芸人だっていわれてて。絶対に笑わせるので、シーンとしてる席とか気まずくなってる席に必ず私が行かされるんですよ。

──すごい。実人生をネタにするって、そのまんまなようで難しい、ヘヴィな作業でもあるかと思うんですが。

卯月 いや、逆に描くことで救われることもあるので。実際に物心ついてからこれまで、そうやって描くことで乗り越えてきたので。

──しかし、今回番外編として収録されている「3.11」に関しては、実際かなり描くのは辛かったのでは……?

卯月 あれはたいへんでしたよね。自分は郷土愛がすごく強いので、大好きな宮古の町が流されて、鍬ヶ崎や田老が更地になってしまって、もうないっていう現実に耐えられなくて、とても描けなかったんですね。ただ、うちの両親がすごくがんばってるのに、私がいつまでもへこたれてるわけにはいかないなと思って、勢いで描いて。もう大丈夫かなって初めて航空写真を見てみたら、まったく家がないことにショックを受けて、過呼吸をおこして倒れて、そこからまたおかしい状態になってしまいました……。だから、地元に帰ったら症状が再燃するんじゃないかなと二の足を踏んで、まだ帰れない状態なんです。

故郷の東北を襲った「3.11」で卯月先生が受けたショックは計り知れない。吐き続け、吐き続け……

故郷の東北を襲った「3.11」で卯月先生が受けたショックは計り知れない。吐き続け、吐き続け……

──震災に関しては簡単に乗り越えられる問題じゃないというか、まだまだ終わってないということですよね……。そのうえで、卯月さんのなかで震災を描くことで何か変わったことはありましたか?

卯月 ずっとだれにもいえなかった友だちの話を描けただけでも救われたのかなっ、て気はしますね。

──ちなみに震災が起こったのは、時系列的には前作を描きあげたあとになるんですよね。その前後とでは作品を描くうえで何か変化はありました?

卯月 震災とはちょっと離れちゃうんですけど、前作は絵があんまりひどすぎたので今回はちゃんとマンガとして、お金を出して買ってもらえる作品を描きたいという気持ちが強くて、絵を練習したりしてがんばりました。

──前作の不安定なタッチの絵に関しては、薬と、あと片目を失明されたことも影響があったかと思うんですが、それもアリというか、逆にそれが一種鬼気迫るリアリティを醸し出してましたよね。

卯月 いや、ヒドイもんですよ。箱を描いたものの、なんだかわかんなくて、「あ、これタクシーだった!」って思い出して「タクシー」って書いて、むりやりタクシーにするような感じでしたから。

──逆に、今回の安定感のある絵からは卯月さんのハッピー感が伝わってきます。

卯月 今回はやわらかい話にしたかったので、絵もほのぼのするような丸っこい絵柄にしようと心がけたのはありますね。

──といっても、作中のボビーさんの顔が写実的に描かれてるシーンなんかは、表現としてすごくマンガ的だなと思いました。

写実的に描かれたボビーの顔。これが卯月流「マンガ」表現。

写実的に描かれたボビーの顔。これが卯月流「マンガ」表現。

卯月 ボビーの顔を描くのは私の趣味みたいなもので。たぶんボビーが生きているうちに読む、『人生仮免中』としては最後の作品になるんじゃないかと思ったので、ボビーのリアルな顔を入れておきたいな、と(笑)。

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『人間仮免中つづき』
卯月妙子 小学館 ¥1,400+税
(2016年12月12日発売)

衝撃の作品であった前作『人間仮免中』からの変遷を、『人間仮免中つづき』を描くまでの経緯、マンガを描く姿勢・技術面での変化から語っていただいた、今回のインタビュー。
そして、インタビューの最後では「ボビーが生きているうちに読む、『人生仮免中』としては最後の作品になるんじゃないか」という、衝撃のひと言が!? 

インタビュー第2弾では、『人間仮免中』、『人間仮免中つづき』を読むうえで外すことのできない人物、卯月先生の愛しの彼・ボビーさんに対する先生の想い、そして、先生の今後の展望が明らかに!!
インタビュー第2弾の公開は、コチラから!

そしてそして、卯月先生から「このマンガがすごい!WEB」読者にサプライズプレゼントが! なんと!! ここでしか読めない、『人間仮免中つづき』の裏話を語った、特別描き下ろしマンガをお描きくださったのです!!
特別描き下ろしマンガは、ひと足早く、1月20日(金)から公開中! こちらもぜひお読みください!!

取材・構成:井口啓子

単行本情報

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