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【インタビュー】高田かや『カルト村で生まれました。』【「このマンガがすごい!2017」オンナ編18位】”カルト村”出身の著者は今、何を想う……。

2017/03/13


人気漫画家のみなさんに“あの”マンガの製作秘話や、デビュー秘話などをインタビューする「このマンガがすごい!WEB」の大人気コーナー。

今回お話をうかがったのは、高田かや先生!

所有のない社会をめざす「カルト村」で生まれ育った少女が、当時の生活をありのままに描き、大反響を巻き起こしたコミックエッセイ『カルト村で生まれました。』。
その続編にあたる『さよなら、カルト村。』を今年1月に発売された高田かやさんの「このマンガがすごいweb」スペシャルインタビュー。
前編では高田さんがこれらの作品を描くことになったきっかけ、完成するまでの経緯を中心に伺いましたが、後編では「カルト村」での生活が高田さんに与えた影響、「カルト村」と「家族」への思いを、さらに突っこんで聞いてみました。


著者:高田かや

生まれてから19歳まで、カルト村で共同生活を送る。
村での実体験を回想して描いた作品を「コミックエッセイルーム」(文藝春秋)に投稿したことがきっかけでデビュー。

続編の『さよなら、カルト村。』が1月30日より好評発売中。

訪れる反発、そして「一般」へ

――最新刊『さよなら、カルト村。』では、中学・高校と高田さんの思春期の思い出が描かれています。思春期といえば、比較的自由な一般社会にいる子どもでも、妙に反抗心が芽生えたり、将来への希望と現実のギャップに苦しんだり、何かと難しい時期なわけですが、高田さんが当時、いちばん興味があったこと、村にいることでいちばん葛藤したことはなんでしたか?

高田 本を読むのが好きだったんですが、いろいろ制限があったので、隠れて読んでましたね。葛藤などという大げさなものではなく、普通の趣味嗜好のものでしたが…。昔から、なんにでも興味は持ちますが、飛び抜けて「これがしたい」という強い欲望はあまり持ったことがないんです。

制限された生活のなかでも大好きな本が読めたのは、そっと本を貸してくれたくれた

制限された生活のなかでも大好きな本が読めたのは、そっと本を貸してくれたくれた"一般"の中学校の先生のおかげ!!

――高校卒業後、高田さんは当初の予定を変更して村を出る決意をされます。その理由はなんだったのでしょう?

高田 自分と村の考えが合わないなと気づいたからです。当時、同学年の村育ちの子のなかで、自分の意思で高等部卒業のタイミングで村を出ることを選んだ子は少数派でしたが、同じ考えを持つ人が集まって暮らすのが村なので、村とは違う考えをもつ自分は村にいるべきではないと考えました。私が村を出る決意をした際の心境などは、『さよなら、カルト村。』にくわしく描いてあるので、このインタビューを見てくださった方は、ぜひ読んでみていただけたらうれしいです。

──カルト村で生まれ育った高田さんは、学校以外の一般社会に触れるのは初めてだったわけですが、一般での生活にはスムーズになじめましたか?

高田 親といっしょに村を出たので、一般のことは親にいろいろ聞くことができましたし、ひとりで出てくるよりは比較的スムーズになじめたんじゃないかと思います。

──逆に、いちばんカルチャーショックだったことや困ったこと、してみたかったことは?

高田 カルチャーショックといえば、少しの労働で10万を越えるお給料をもらえたときでしょうか。労働の対価をもらったのが初めてだったので、自分の働きをお金で換算されることが新鮮で、とてもうれしかったです。いちばん困ったのは、中卒なので仕事がなかなか見つからなかったこと。してみたかったことは、カップラーメンを好きなだけ食べることです。その後、仕事も苦労しましたが無事見つかりましたし、カップラーメンも心ゆくまで食べました(笑)。

初めて賃金がもらえる労働を経験した高田先生。もらえたその額に驚愕!?

初めて賃金がもらえる労働を経験した高田先生。もらえたその額に驚愕!?

──それはよかったです! 村に戻りたいと思ったことはありますか?

高田 特に必要性を感じたことはありませんね。

──大人になって、改めて自分のいた村について調べたりはされました?

高田 村について特に疑問などもなかったので、あえて調べるようなことはしませんでしたが、このカルト村シリーズを描く前には、さすがにいろいろ調べましたね。あくまで自分の思い出話とはいえ、小さい頃のことなので記憶違いはあるだろうし、明確な事実があればそれと照らし合わせて、少しでも誤差がないように描くべきだろうと思ったので。便宜上、いいまわしや名称を変えている箇所もありますが、村の敷地面積や通学路の距離など、数値がはっきり出せるものはきちんと調べました。

──そういう細部までしっかり描かれているからこそのリアリティが本シリーズにはありますね。カルト村が舞台の話ではあるのですが、生まれ育った環境は多かれ少なかれだれもが違うもので、自分の当たり前が他人から見れば「カルト(変)」に見えることは多々ありうると思います。そういう意味で、本シリーズは(擬似)家族をめぐる物語としても読むことができます。それをふまえたうえで、高田さんにとって「家族」とは、どのようなものでしょう?

高田 私にとって家族とは「血が繋がっている人のことで、自分ではどうしようもない事実」だと思います。ただ、人によって家族の概念は違うので、村で大人が「村はひとつの家族なんだ」といっていた「家族」と、私の考える「家族」はまったく違うものなんだろうなと思います。大人になるまで自分の親兄弟と過ごしてきた私の両親が考える「家族・兄弟間のつながり」と、生まれた時からずっと親兄弟と離れて暮らしてきた私の考える「家族・兄弟間のつながり」とでは、あきらかにわかり合えない溝を感じます。

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