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【インタビュー】雲田はるこ『舟を編む』直木賞作家からのオファーのきっかけはBL!? 原作者も惚れこんだ“雲田はるこワールド”

2017/07/10


人気漫画家のみなさんに“あの”マンガの製作秘話や、デビュー秘話などをインタビューする「このマンガがすごい!WEB」の大人気コーナー。

今回お話をうかがったのは、雲田はるこ先生!

大ヒット作『昭和元禄落語心中』『いとしの猫っ毛』シリーズなどのBL作品でマンガファンの注目を集めている漫画家・雲田はるこ先生。
そんな雲田先生が初めてコミカライズを手がけた、マンガ『舟を編む』は、原作小説の雰囲気や世界観を崩すことなく、さらに雲田先生の味わいを十二分に詰めこまれていて、現在発売中の単行本も話題になっています!

今回は、原作著者・三浦しをん先生との出会いについてや、印象的なシーンを描くにあたって雲田先生が心掛けていることなど、『舟を編む』の作中カットを交え、さらに“雲田はるこワールド”の魅力に迫っちゃいますッ! 

<インタビュー第1弾も要チェック!>
【インタビュー】雲田はるこ『舟を編む』「私、この作品で●●●●●●にハマりました……」著者、衝撃の発言! 人気漫画家をトリコにしたある人物とは……

著者:雲田はるこ

BL作品でデビューし、短編集の『野ばら』で注目を集める。その後、一般作品に進出すると2010年から「ITAN」(講談社)にて『昭和元禄落語心中』を連載。テレビアニメも好評を博した。
ほかに『いとしの猫っ毛』(リブレ出版「BE・BOY GOLD」連載)『R先生のおやつ』(文藝春秋「CREA」連載)など。
著者最新刊に、7年ぶりのBL短編集『ばらの森にいた頃』(祥伝社)などがある。

三浦しをん原作の『舟を編む』のコミカライズ短期連載を「ITAN」34号(2016年10月)よりスタート。
同時期より放送がスタートしたアニメではキャラクターデザインも担当。

Twitter:@KUMOHARU


新人時代、直木賞作家から突然のご指名が!?

――『舟を編む』は、そもそも小説の連載時に挿絵を手がけていらっしゃたんですよね。その経緯についてあらためて伺いたいのですが、これは三浦しをん先生からのご指名だったとか?

雲田 そうです。デビューして1、2年くらいの頃で、すごくびっくりしたんですよ。「なぜこんな新人に?」って。三浦さんが私の最初の単行本『窓辺の君』を読んでくださって、ぜひとお声がけくださったんです。BLマンガをかなり読んでいらっしゃるそうで。

三浦しをん先生原作の大ヒット作『舟を編む』。雑誌連載時の挿絵から単行本表紙のイラストも雲田先生が手がけた。

三浦しをん先生原作の大ヒット作『舟を編む』。雑誌連載時の挿絵から単行本表紙のイラストも雲田先生が手がけた。

――三浦しをん先生といえば『まほろ駅前多田便利軒』で20代で直木賞受賞した注目作家で、この『舟を編む』も刊行後、本屋大賞を受賞し大ヒット作となるわけですが。連載は「CLASSY.」という女性誌で2009年からスタートしていますね。

雲田 毎月カラーが2枚くらい、全25回ですから2年ちょっとですね。始まった頃は、私自身のマンガのお仕事は隔月誌1冊のみでした。

――挿絵のお仕事はもちろん初めて?

雲田 はい。でも、デビュー前に個人的に好きな小説を読んで勝手に登場人物の絵を描いたりしていて、いつか挿絵の仕事もやってみたいとずっと思っていたんです。

――挿絵の依頼に際して、三浦先生からはどんな指示があったのでしょう。

雲田 始まる前に一度お会いして、最初の打ち合わせでは、登場人物の性格や雰囲気など、決まってることを教えていただく感じで。けど「自由にやってくださって構いません」という風にもいってくださいました。「建物を素敵に描いてほしい」といわれたのも覚えてます。玄武書房の別館は古めかしい建物のイメージだと。

――老舗の出版社でも、いまどきは現代的に建て替えられてたりしますもんね。

雲田 その場所に根をはって仕事をしている人たちの想いが、長年にわたって受け継がれていく話なので、古い建物だとなんとなくしっくりきますよね。

――キャラクターについて細かいオーダーはあったりしましたか?

雲田 馬締くんについては三浦さんのなかで、はっきりと見た目のイメージもかたまっていたようです。銀縁眼鏡で天パ、着るものはあまりかまわなくて……と。後々、伝説の辞書編集者みたいになっていく人です、とおっしゃってました。あと、松本先生は「ツルみたいなおじいちゃん」って(笑)。

三浦先生のイメージを丁寧になぞりながらも、雲田先生ならではの味のある魅力的なキャラクターに仕上がっている!

三浦先生のイメージを丁寧になぞりながらも、雲田先生ならではの味のある魅力的なキャラクターに仕上がっている!

――ツル(笑)。伝わりますねぇ。

雲田 三浦さん、松本先生にはかなり思い入れがあったようでくわしく語っていたと思います。

――そういえば松本先生と『昭和元禄落語心中』(以下、『落語心中』)の松田さん[注1]、ちょっと似てますよね。

雲田 どちらもこんなに長い付き合いになるキャラクターだと思っていなくて、あまり髪型が被ってしまうことを意識していませんでした。それでも描き分けをしてみようと挑戦している所です。松本先生のほうが色気がある感じかな。松本先生は恋バナも好きだし、若い頃はきっとモテたんだろうなと思いながら描いています。『舟を編む』からはおじいさんキャラの魅力だけでなく、同期同士の関係性や師弟愛……物語の進め方も学ばせていただいたと思います。。三浦さんの小説には、普遍的で皆が大切に思えるようなことが、やさしく丁寧に、丹念に描いてあります。そういうところもすごく好きで、勉強になりました。

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  • 注1 『落語心中』の松田さん 『昭和元禄落語心中』に登場する人物。落語家・八雲の付き人で、身のまわりの世話や運転手などをしている老人。物腰穏やかだが厳しい一面も。マンガでは第1巻から最終巻まで登場した。

単行本情報

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