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『ブルーピリオド』 (山口つばさ) ロングレビュー! リア充マイルドヤンキーが藝大受験に挑む!! 絵を通じて広がる世界は、彼にどう映るのか!?

2018/02/08


脇を固める美術部のキャラクターたちは曲者ぞろい。超美形で学ラン×スカートという奇抜な女装家のユカちゃんこと鮎川龍二は八虎と犬猿の仲。八虎が目を奪われた鮮烈な油絵を描いたのは3年生の森先輩。小柄な美少女だが芯のある女性であり、先に美大を受ける彼女が八虎の指針となる。

そして最大のキーマンとなるのが美術部の顧問である熟年女性教師(おばあちゃん先生)。絵の基礎を無理なく教えることはもちろん、「好きなことは趣味でいいのでは?」と美大受験に懐疑的な八虎にその意義を伝えてくれる。その凛とした立ち姿がたまらなくかっこいい。

好きなことに人生のウエイトを置き、努力をする。シンプルだけど最強の考え方だ。

八虎が実家の経済状況を考慮して日本唯一の国立美大=東京藝術大学一本に絞るところもポイント。2浪3浪当たり前の藝大・絵画科に高校2年生の夏からズブの素人が現役合格を目指すなんてまずありえない話だが、もともと努力家で要領のいい八虎がグングンと力をつけていく様は「ひょっとしたら?」とワクワクする。

道具や技法など美術のノウハウもそこかしこに散りばめられており、読んでいるだけで絵が上達した気分になれること請けあい。劇中に登場するデッサンや作品は、実際に藝大合格を果たした生徒から借りたものも含まれる。だからこそ説得力は抜群だ。

まだまだ油絵の道具を使いこなせてはいないが、楽しんで描くことを意識する。

恋愛エピソード等で物語が横道にそれることもなく(なにせヒロインのユカちゃんは男ですし)、ひたすらストイックに八虎が藝大受験へと邁進するのも清々しい。本当に好きなこと、やりたいことを見つけて人生が動き始めた人間の強さをここまで見せつけてくれると、読み手であるこちらまで背筋が伸びる。

第1巻終了時点で季節は冬に変わり、受験まで1年ほどに迫った。予備校にも通い始め、ライバルとも出会い、臨戦態勢が整いつつある。自分は天才ではない。それでもやった分だけうまくなることを知っている。そんな八虎の無謀とも思える挑戦から目が離せない。



<文・奈良崎コロスケ>
中野ブロードウェイの真横に在住。マンガ、映画、バクチの3本立てで糊口をしのぐライター。

単行本情報

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