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ワンコインで傑作・迷作・怪作が読める!「コンビニ廉価の復刊劇画」ベスト3 サークル「フライング東上」V林田さん【目ききに聞く】

2015/04/14


コンビニエンスストアの本棚。そこにはワンコイン程度の価格帯で刊行されている、いわゆる「コンビニ廉価本」がずらりと並んでいます。
普段「このマンガがすごい!WEB」でも、なかなかとりあげることのないコンビニ廉価コミックスの世界。ベストセラー作品の総集編などに加え、ギャンブルに極道にエロス……などなど、コンビニにふらりと訪れたお客さんが思わず手に取ってしまうような刺激的題材の名作&迷作、そして入手が難しかった幻の傑作・怪作に満ちあふれているのです。

今回は、主催の同人サークル「フライング東上」でマンガの研究本・資料本を多数刊行しているライターのV林田さんに、コンビニ廉価本として復刊された作品のなかから、オススメの3本を紹介していただきました!

V林田さんオススメの3作品!

『任侠沈没』山口正人

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『任侠沈没 スペシャル』
山口正人 日本文芸社 \630+税
(2015年3月7日発売)

復讐のために自分の組の組長を殺すべく旅立つこととなった若頭・大紋寺龍伍。
しかしその時、日本列島を襲う未曾有の大地震が!
山が火を吹き、相模湾が流氷で埋まり、暴走族が暴れ、悪いヤクザがシャブ入りシチューを地元民にふるまうという、この世の地獄。こんな状況でも、しかし組長(オヤ)殺しは完遂せねばならない。それも任侠!

……といった具合の、90年代のヤクザマンガを代表する名作『修羅がゆく』の山口正人先生による、任侠と『日本沈没』を組み合わせた、まったく新しいヤクザマンガです。
旧版全3巻を1冊にまとめ、描き下ろしのエピローグまで入ったコンビニ版が、今年3月に刊行されました。

無茶苦茶な状況で、無茶苦茶な登場人物が、大まじめに無茶苦茶なことをやるという、ギャグと任侠が入り混じった大娯楽作。頭を空っぽにして読みたい逸品です。


『3/4(よんぶんのさん)』ほんまりう

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『麻雀超戦術 3/4』上巻
ほんまりう 竹書房 \476+税
(2012年8月7日発売)

あまり知られていませんが、麻雀マンガ(劇画)というジャンルにおいては、70年代のものと90年代から現在までのものとでその傾向に大きな違いがあります(作り手の変化や全自動麻雀卓の普及など様々な要因があるのですが、詳細は長くなりすぎるので割愛)。
そして、その過渡期であった80年代後半に生まれた、70年代麻雀劇画の流れをくむ最後期作品であり、かつ最高傑作であるのが本作。2012年に旧版全4巻を上下巻にまとめてのコンビニ版が刊行されました。現在は電子書籍版も出ており、こちらの方が入手しやすいようです。

ほんまりう先生の落ち着いた筆致で描かれる人間ドラマと、「王牌打ち」「ツモ牌相打ち」など、ほかの麻雀マンガであまり見ないギミックが使われた麻雀シーンが、高いレベルで融合した渋い1品。
特に最終話が、「最終話だけを比べるなら、本作こそが麻雀マンガのベスト」と言いたくなるほどすばらしいんですよ。

ちなみに、アニメ『咲-Saki-』の第7話予告は、本作に登場する「牌温読み」という技(鍼で体温を下げると、牌の温度差を感じることで山の牌が何かを判別できる。使いすぎると凍死するのが弱点)が元ネタです。


『男!日本海』玄太郎

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『男!日本海 スペシャル 旅立ちの女編』
玄太郎 日本文芸社 \556+税
(2014年10月17日発売)

横山まさみち『やる気まんまん』などが有名ですが、世の中には「性豪マンガ」というジャンルがございます。

本作は、92年~98年、2005~2006年、2013年~2014年と、3度にもわたって連載された、「週刊漫画ゴラク」を代表する性豪マンガです。
2014年10月になって、旧版単行本の2巻途中までと2013~2014年の掲載分を収録したコンビニ版が刊行されました。

8寸(約24センチ)という巨根の持ち主・魁日本海が、各地を漫遊しては様々な女性と関係を持つというのが基本のストーリーですが、本作に関してはこのような説明を聞くより、登場するヒロインたちの名前を見た方がどのようなマンガかわかりやすいでしょう。いくつか挙げていきます。

穴江伊礼奈(あなえいれな)、今下伊代(いましたいよ)、尾又小磨合(おまたさすり)、鎖漫子(くさりまんこ)、下久鳴乃(したくなるの)、島里由乃(しまりよしの)、憎乃房好江(にくのぼうすきえ)、星月照代(ほしがつてるよ)、間良賀好代(まらがすきよ)、欲師丸穴子(よくしまるあなこ)……。
はい、みなさんよくわかったと思います。

こんなの、1話か2話読んだらお腹いっぱいになるんじゃないかと思う方もいるでしょう。しかし、玄太郎先生の「漫画力」が非常に高くて読みやすいこともあって、ついうっかり読み続けてしまうんですよこれが。
まるで、度数が高いにもかかわらず口当たりがよいため、ついつい飲み過ぎてしまうタイプのシャブのような味わいです。

読んだ後は、いろんな悩みがバカバカしくなり爽やかな気分になることうけ合い。
あと、アニメのヒロインとかを見ると「"むらむらうづき"って名前はどうかな……」という具合に、『日本海』ナイズされた名前について、つい考えるようになります。

なお、電子書籍版は旧版単行本に合わせ10巻(107話までを収録)までが出ていますが、じつはその後に92~98年掲載分だけで未収録エピソードが194話あるほか、「バイブドア社長ヤリエモン」という名キャラクターが登場する『男!日本海 ~謎街道をゆく~』(2005~2006年連載分)も、全話単行本未収録。
いつかこれらもまとまってほしいものです。


ご協力者:V林田

1982年生まれ。
本格美少女麻雀マンガ『咲-Saki-』のファン。好きな雀士は龍門渕透華。

同人サークルで麻雀マンガ研究本を出したり、『男!日本海』の資料本を出したり、犬が麻雀を打つ麻雀マンガを復刊したりもする。

kashmir氏のマンガ『てるみな』で幕間の鉄道会社コラムを書いたり、「本の雑誌」「SFマガジン」などで記事を書いたり、18禁美少女ゲーム『なつくもゆるる』で生物部監修をしたりもした。

単行本情報

  • 『任侠沈没スペシャル』 Amazonで購入
  • 『麻雀超戦術 3/4』上巻 Amazonで購入
  • 『男!日本海スペシャル 旅立… Amazonで購入

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