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『所得倍増伝説 疾風の勇人』(大和田秀樹)ロングレビュー! まるでフィクション!? 戦後日本を変えたアツすぎる漢(おとこ)たちの物語とは!?

2016/06/22


英傑が集い、歴史を変えるべく力をあわせるという筋書きは、やはり胸にくるものがある。
しかし、池田が広島県出身ということもあるのだろうが、荒々しい広島弁で盃を交わしたり、政敵を恫喝(どうかつ)するシーンを見ていると、まるで『仁義なき戦い』を見ているかのような錯覚におちいることもしばしば。
政治家とヤクザは紙一重、なんて言われたりもするけど、『疾風の勇人』を読んでいるとあながち冗談とも思えなくなってくる。

しかし、そこに今の日本人が見失った「力強さ」や「矜恃」を感じるのは筆者だけだろうか。政治とは本来、そのくらい熱く、命を懸けるだけの価値のあるものだったのだ。

吉田学校結成以降は、田中角栄、ウィロビー少将など戦後の日本政治を語るうえで欠かせない重要人物が続々と登場。
そして吉田学校一派とGHQの対立は、昭電疑獄(昭和電工事件)というかたちで浮き彫りとなる。
怒涛の時流のなかで権謀術数が張り巡らされ、保身のために奔走する者、派閥存続のために詰め腹を切らされる者が続出。その後、ついに第二次吉田内閣が成立するところまでが描かれる。

このへんまでくると、もうページをめくる手が止まらなくなる。こんなに日本の近代史がスリリングでおもしろかったなんて……!
学校の先生は、こんなことひとつも教えてくれなかったよ!

歴史的な事件も、わかりやすく経緯がまとめられており、日本史に詳しくなくともすんなり読み進められる。ちなみにこのダンディな中年が、田中角栄だ!

歴史的な事件も、わかりやすく経緯がまとめられており、日本史に詳しくなくともすんなり読み進められる。ちなみにこのダンディな中年が、田中角栄だ!

そして日本を虎視眈々と狙う「赤い」国の指導者たちがシルエットで登場したところで第1巻は幕を下ろす。
それがだれなのかは言わずもがななんだけど、改めて戦後の日本というのは一筋縄ではいかない混沌のなかにあると思わせられると同時に、今もなお「赤い」国の脅威が我が国の領土を侵犯し続けている状況を見るに、まだ戦後は終わっていないのだと再認識させられるばかり。
歴史は、断絶した過去のエピソードなのではなく、現在まで地続きの一本の道なのだ。

第1巻のラストページに登場する黒幕的な方たち。深くはツッコみませんが、『ムダヅモ』でかなり切りこんだ大和田先生のこと。今回もガンガンに攻めてくれるはず。今後の展開に期待!

第1巻のラストページに登場する黒幕的な方たち。深くはツッコみませんが、『ムダヅモ』でかなり切りこんだ大和田先生のこと。今回もガンガンに攻めてくれるはず。今後の展開に期待!

「昔の日本はよかった」なんて、寝ぼけたことを言ってるすべての日本人に読んでもらいたい一作だ!



<文・有田シュン>
ライター、編集者。シティコネクション所属。著書に『アウトサイダー・プラモデル・アート 青島文化教材社の異常な想像力』『よみがえるケイブンシャの大百科[完結編] 』。編著に『KOWLOON'S GATE ARCHIVES』

単行本情報

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