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“エロ”バーチャルリアリティイベントに人が集まりすぎて中止!? VRはエロで進化する!【B級ニュース】

2016/06/21


複雑化する現代。
この情報化社会では、日々さまざまなニュースが飛び交っています。だけど、ニュースを見聞きするだけでは、いまいちピンとこなかったりすることも……。
そんなときはマンガを読もう! マンガを読めば、世相が見えてくる!? マンガから時代を読み解くカギを見つけ出そう! それが本企画、週刊「このマンガ」B級ニュースです。

今回は、「バーチャルリアリティ(VR)がアダルト分野に進出!?」について。


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『Oculus Riftでオレの嫁と会える本 UnityとMMDモデルで作る初めてのバーチャルリアリティ』
桜花一門、ゆーじ(著) 翔泳社 ¥2,680+税
(2014年12月16日発売)

6月12日、秋葉原で日本初のVR(バーチャルリアリティ)アダルトコンテンツの祭典「アダルトVRフェスタ」が開催された。

仮想現実のアダルトなんて、まるでSFの世界みたいじゃないか!
そもそも、新しいテクノロジーはつねにエロの力を起爆剤にしてきた。VHSにしてもDVDにしても、アダルトコンテンツのおかげで普及した側面があるのは事実だ。

だからVRの技術も、アダルト業界に最先端の技術が注がれているに違いないッ!
そんなわけで「アダルトVRフェスタ」に世間の耳目が集まるのはしごく当然のこと。入場希望者が殺到しすぎて大混雑を招くと、警察による指導が入り、なんとイベントは中止に追いこまれてしまった。

お前らッ、エロに興味ありすぎだろッ!!
まあ、最近はテレビやネットのメディアでは、SF(すごく・不倫)ニュース一色なので、それに比べりゃアダルトVRは「すこし・不埒」くらいなものである。

ともあれ、“未来の技術”と思われていた仮想現実(VR)が、もはや手の届くところまで近づいてきているわけだ。
では、マンガの世界では、どのようにVRを描いてきたのか。どのようなVR機器を欲望してきたのか。
今回は「マンガにおけるVRの描かれ方」を見ながら、“来るべき新メディア”がどのようなものになるのかを推測していこう。


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『ルサンチマン』第1巻
花沢健吾 小学館 ¥505+税
(2004年5月28日発売)

まず紹介したいのが『ルサンチマン』。
実写映画も大好評だった『アイアムアヒーロー』の作者・花沢健吾の長編デビュー作だ。

現実世界では絶望的にモテない主人公・坂本拓郎(たくろー)は、最新式のオンライン・美少女ゲームに手を出す。ヘッドマウント・ディスプレイや、専用のデバイスが搭載されたボディスーツを身にまとってプレイするので、ゲーム上のあらゆる出来事が現実そのものに感じられるというシロモノだ。
そしてこの世界では、AIの美少女とのバーチャル・セックスも可能である。
やっぱエロかッ!!

本作の連載開始は2004年。作中で描かれた「近未来」は2015年という設定だが、現実世界ではその1年後である今年に「VRフェスタ」が開催されたことを考えると、よけいにリアルさを感じるのではないだろうか。


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『狂四郎2030』第1巻
徳弘正也 集英社 ¥505+税
(1998年3月発売)

『ジャングルの王者ターちゃん』でおなじみの徳弘正也も、『狂四郎2030』のなかでVRを描いている。

2025年の第三次世界大戦終結後、日本は優生思想を標榜するゲノム党による一党独裁体制になり、男女隔離政策が実施された。
男女は隔離されているので、生身の身体での性交渉は一部特権階級だけに許された行為となっており、一般国民はバーチャルマシンでのセックスで欲望を満たしている。
やっぱエロかッ!!

本作内では、VRの技術は娯楽(エロ)だけではなく、教育プログラムとしても用いられている。主人公の狂四郎はこのプログラムを利用して剣術を学んでいるが、ゲノム党は子どもたちの思想教育……、すなわり洗脳に役立てている。
VRの可能性と危険性がともに提示されているわけだ。


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『小学館コロコロ文庫 モジャ公』第2巻
藤子・F・不二雄 小学館 ¥486+税
(1995年9月発売)

そしてSFといえば、藤子・F・不二雄を忘れてはならない。
F先生のSF(すこし・ふしぎ)マインドは、もちろんVRだって先取りしている。

1969年に連載が開始された『モジャ公』には、すでに仮想現実の世界が描かれているのだ。
第9話「天国よいとこ」(小学館コロコロ文庫2巻収録)では、主人公・天野空夫たち一行は惑星シャングリラを訪ねる。
シャングリラ人の築いた文明は「意識を具象化することに成功」しており、思い描いたものごとがかならず起きるようになっているのだ。「お金がほしい」「食べ物がほしい」と願えば、それが目の前に出現するという夢のような世界である。

シャングリラ人は、心とは「もともと脳細胞をかけ回る電流の働きにすぎない」として、心と体の切り離しに成功。体は不要になり、コントロールタワーからの電流で心に「望むままの世界を感じさせて」いるのだ。つまり「脳さえ騙せれば、実物なんかいらねぇじゃん」というわけである。

まるで映画『マトリックス』(1999年)『イノセンス』(2004年)のようなハードSFの世界観だ。
F先生、「すこし」どころじゃないッス!!

ちなみに空夫たちは、同行した世界的記録映像作家のタコペッティ(初出は「自殺集団」同2巻収録)が撮影したビデオ映像がキッカケになり、シャングリラの秘密に気づく。
タコペッティは、イタリアのモンド映画の巨匠ヤコペッティがモデルであることは間違いない。ヤコペッティといえば、世界中の(ありもしない)奇習を紹介した『世界残酷物語』(1962年)や、黒人奴隷制度をフェイク・ドキュメンタリー風に描いた『ヤコペッティの残酷大陸』(1971年)が代表作の、カルト作家である。
タコペッティが空夫たちと行動をともにするようになって以降、タコペッティが全宇宙の奇妙な星とその風習を記録していく展開になっており、パロディ要素としてもかなりハード。こんな風刺要素の強い作品を少年誌(講談社「ぼくらマガジン」)で描いていたのだから、F先生はアナーキーだ。

「アダルトVRフェス」の前日の6月11日、英国シェーフィールド大学のロボット技術の専門家たちは、近い将来セックス用ロボットが登場し、10代の青少年はロボット相手に性交渉を開始するようになるだろうと警告を発した。
なにをかいわんや、である。

上記3作品からも想像できるように、実物の代用品を用意するという考え方自体が、ピントがずれている。
近い将来、われわれの性交渉はバーチャルになる。
そしてそれは、事前に用意されたプログラムやAIが相手になるのではなく、人間同士がオンライン上でバーチャル性交渉をするようになるだろう。要するに“オンライン対戦”である。遠隔恋愛も、これでバッチリだ。

ただし、そうなるとSNSと紐付けして個人情報が流出したり、流出データを元に強請(ゆすり)や美人局だって横行するし、もちろんネカマの問題も想定できる。場合によっては、自分のクローンAIとだって……モゴモゴ。

まあでも、脳さえだませりゃOK、か!?



<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでの漫画家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama

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