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ありがとうハマの番長! リーゼント男子におくる不良マンガ4選!!【B級ニュース】

2016/09/27


複雑化する現代。
この情報化社会では、日々さまざまなニュースが飛び交っています。だけど、ニュースを見聞きするだけでは、いまいちピンとこなかったりすることも……。
そんなときはマンガを読もう! マンガを読めば、世相が見えてくる!? マンガから時代を読み解くカギを見つけ出そう! それが本企画、週刊「このマンガ」B級ニュースです。

今回は、「ハマの番長、ユニフォームを脱ぐ」について。


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『打てるもんなら打ってみろ!』
三浦大輔 ロングセラーズ ¥1,300+税
(2008年6月1日発売)

横浜DeNAベイスターズのファンのみなさん、おめでとうございます!

ベイスターズはここ10年連続Bクラスで、12球団中唯一クライマックスシリーズへの出場経験がなかった。
ところが先週9月19日、球団史上初となるクライマックスシリーズ進出を確定させたのである。

しかしその一方で、長年チームを支えつづけた三浦大輔投手(42)が今季限りでの引退を表明した。
1991年のドラフトで横浜大洋ホエールズ(のちのベイスターズ)に指名されて入団すると、25シーズン横浜ひと筋。チームのレジェンドの引退発表は、多くのファンから惜しまれた。

さて、そんな三浦投手のトレードマークといえば、もちろんリーゼントである。
CAROL時代の矢沢永吉ばりにポマードで固めた髪型から、ついた渾名が「ハマの番長」。

本来、リーゼントとは両サイドの髪を後部になでつけて、後頭部で左右をI字型に合わせる「ダックテイル」のことを指す。
しかし日本では、前髪を逆立てた「ポンパドール」と組みあわせた複合的なセットを「リーゼント」と呼称するようになった。ハマの番長も、もちろんこのスタイルだ。

日本式リーゼントは80年代にロックンローラーに愛用されると、横浜銀蝿の大ブレイクも相まって、不良文化のなかで定着していった。
ここから「ヤンキー=リーゼント」の“勝利の方程式”が生まれたのである。

この時代の中高生男子は、別に不良じゃなくても、喧嘩なんかしなくても、「今日も元気にドカンをキメたらヨーラン背負ってリーゼント」だったのだ。

そしてもちろん、トレンドに敏感なマンガの世界でも、80年代はヤンキーマンガが大流行!
そこで今回は、一世を風靡したリーゼントが似合う番長キャラにスポットを当てる。

限界バリバリ、そこんとこ夜露死苦!


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『BE-BOP-HIGHSCHOOL ビー・バップ・ハイスクール』 第1巻
きうちかずひろ 講談社 ¥485+税
(1984年3月15日発売)

ヤンキー文化を代表するツッパリマンガは、もちろん『ビー・バップ・ハイスクール』(きうちかずひろ)だ。
ヒロシとトオルのコンビが喧嘩や恋に明けくれるツッパリ的日常を描き、時代の寵児となった作品である。

かつての番長マンガは、喧嘩がメインになり、トーナメント方式のバトルマンガになりやすい。
しかし、前時代の番長マンガと80年代のツッパリマンガが大きく違うのは、そこにモテの要素が入ってくるところだ。

60年代末期の『男一匹ガキ大将』(本宮ひろ志)や70年代の『男組』(雁屋哲・作 池上遼一・画)に代表されるかつての番長マンガは、主人公が一途であることが美徳だった。
しかし、80年代以降の作品――本作や『湘南爆走族』(吉田聡)など――では、主人公の行動原理に「モテたい(ヤリたい)」が強く打ちだされている。

本作の場合、序盤でヒロシとトオルがヒロイン今日子を取りあったり、あるいはトオルには彼女(翔子)がいたり、ヒロシはスケベな軟派野郎だったり……と、学園ラブコメの要素が入っている。やっぱり年頃の学生なんだから、モテたいと思うのは当然である。
あるいは主人公たちが通う愛徳高校に転校してきた三原山順子は、さんざんヒロシとトオルに気を持たせるような態度を取っておきながら、2人が校則違反で坊主になることが決まるとフッてしまう。ヒロシとトオルのリーゼントは、モテ要素でもあったわけだ。

なお、実写映画版ではヒロシ役に清水宏次朗、トオル役に仲村トオル、そして今日子役に中山美穂がキャスティングされた。
彼らこそが“イカした”ファッションリーダーだったのだ。


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『SLAM DUNK 完全版』 第1巻
井上雄彦 集英社 ¥933+税
(2001年3月発売)

90年代に入り不良文化が下火になって、ヤンキーファッションが“ダサい”と思われるようになってきても、リーゼントは依然として不良の象徴であり続けた。

井上雄彦『スラムダンク』の主人公・桜木花道は、初出時は、赤髪でリーゼントというエキセントリックな髪型である。キレると手がつけられないほど凶暴になり、喧嘩も最強クラスだ。
しかし、自分のミスで敗れた自責の念から坊主頭にする。彼は不良の象徴たるリーゼントを捨てることで、不良から「バスケットマン」になったわけだ。

なお、この頃からは、ヤンキー文化自体を相対化するようなパロディ作品も増えてくる。その代表格が加瀬あつし『カメレオン』だ。
もともとイジメられっ子だった主人公・矢沢栄作は、不良として高校デビューを果たす。
喧嘩は弱いのに、ハッタリと悪運の強さで、トントン拍子に不良世界でのしあがっていく不良コメディマンガである。主人公の名前からして、パロディに自覚的であることがわかるだろう。
栄作の髪型も、やはりリーゼントだ。


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『WORST』 第1巻
高橋ヒロシ 秋田書店 ¥419+税
(2002年5月30日発売)

21世紀に入ってから、伝統的なヤンキー文化をきちんと継承している作品といえば高橋ヒロシ『WORST』だろう。
本作は『クローズ』の続編的な位置づけの作品であり、『WORST』の主人公・月島花は、『クローズ』の主人公・坊屋春道より4歳下の世代にあたる。

1990~1998年に連載された『クローズ』では、主人公の春道は金髪のオールバックだが、2001~2013年連載の『WORST』の主人公・花は坊主頭。
『WORST』でのリーゼントキャラといえば、花の率いる花組の武藤蓮次がいるが、彼は参謀役的な立ちまわりをする。ヤンキー文化の王道的な作品でも、リーゼントは不良のシンボルでありつつも、メインではなくなってきていることがうかがえる。

藤沢とおる『湘南純愛組!』(1990~1996年連載)の主人公・鬼塚英吉は、ヤンキー時代は金髪リーゼントだったが、『GTO』(1997~2002年連載)で教師になると茶色の短髪になる。21世紀になるあたりを境に、マンガ界のヤンキー文化圏ではリーゼントの地殻変動が起きていたようだ。
田村隆平『べるぜバブ』(2009~2014年連載)でも、銀髪リーゼントの姫川竜也は姫川財閥の御曹司で、卓越した情報収集能力と冷静な判断力がウリの頭脳派となっている。

リーゼントはメインどころではなくなってきたものの、そこはやはり不良文化のシンボルであるためか、名脇役のポジションを与えられている点は見逃せない。


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『グラゼニ ~東京ドーム編~』 第8巻
森高夕次(作) アダチケイジ(画) 講談社 ¥571+税
(2016年9月23日発売)

最後に紹介するのは『グラゼニ ~東京ドーム編~』(森高夕次・作 アダチケイジ・画)。

単行本8巻では、瀬戸内カーナビーツに所属する瀬戸内番長こと原武裕美が登場。
瀬戸内番長の髪型はリーゼントであり、もちろんハマの番長・三浦投手がモデルであることは一目瞭然だ。原武は引退後の“仕事(カネ)”を視野に入れながら、引退発表の時期を見極めている。

プロ野球選手のお財布事情にスポットを当てた本作ならではの、引退についての経済事情が明らかにされていくところが興味深い。
また、ハマの番長が正式に引退を表明したいまなら、また違った感慨を抱くことは必至だ。

さて三浦投手の現役最後の登板は、今季の本拠地最終戦となる9月29日のヤクルト戦(横浜)が予定されている。
番長のリーゼント姿を、その目に焼きつけよう!



<文・加山竜司>
『このマンガがすごい!』本誌や当サイトでの漫画家インタビュー(オトコ編)を担当しています。
Twitter:@1976Kayama

単行本情報

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