365日、毎日が何かの「記念日」。そんな「きょう」に関係するマンガを紹介するのが「きょうのマンガ」です。

8月5日はマリリン・モンローが自宅で死んでいるのが発見された日。本日読むべきマンガは……。

『モンロー伝説 ただ愛が欲しいだけ』 上巻
桐野夏生（作） 森園みるく（画） 祥伝社 ￥922+税

1962年の8月5日、マリリン・モンローが自宅で死んでいるのが発見された。
まだ36歳という若さであった。
1950年代を代表するハリウッド女優の死は当時どれほどの大事件として報道されたのであろう。

豊かなブロンドヘアに唇の横の色っぽいホクロがトレードマーク。
『紳士は金髪がお好き』『七年目の浮気』『百万長者と結婚する方法』などのヒット作の主演を務め、セクシーな「モンロー･ウォーク」で一世を風靡した女優の身に何が起こったのか。
睡眠薬の飲みすぎによる事故死と発表されたが、私生活でも注目を集めた彼女の死には陰謀説もささやかれている。

マリリン･モンローは女優としてデビューするずっと前に、10代で出産しているという説もある。
本作は、マリリンに実子がいたという説を採用。生まれてすぐに里子に出されたという設定のジョン・スミスという、今は中年の男を主人公にすえ、彼が会ったことのない実母マリリンの本当の死因を探るため、ゆかりの人物を訪ね歩くかたちで展開する。
伝記的なストーリーでありながらこのひとひねりしたドラマづくりは、さすが桐野夏生とうならされる。
桐野がマンガ原作者としてたびたびコンビを組んでいる森園みるくは、ご存じのとおり官能的な描写も含む大人のレディース作家の筆頭で、まさにマリリンを描くにはうってつけだ。

幼少時代、家庭の温かさに恵まれなかったマリリンの生涯は、愛を求めてさまよう旅路だった。高名な野球選手であるジョー･ディマジオ、劇作家のアーサー･ミラーとは結婚生活を送るも破綻。
そのほかにも、トップスターとなってから浮き名を流した男性は数知れず。
なかには大統領、ジョン・F・ケネディも……!?

マリリンは常にスキャンダルを振りまき、その容姿から「頭の軽い金髪女」というレッテルを貼られていたが、実際の彼女は機転が利いてクレバー。演技には天性の才があったという。
華やかなライトを浴びながら、彼女はどんな悩みに苦しんでいたのか。
そして、その死を、マリリンの性格をよく知る人々はどのように考えていたのか。

伝説的なビッグスターの実像に迫る、意欲作である。

＜文・粟生こずえ＞
雑食系編集者＆ライター。高円寺「円盤」にて読書推進トークイベント「四度の飯と本が好き」不定期開催中。
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