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『怪奇タクシー』上巻 森野達弥 【日刊マンガガイド】

2014/10/12


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『怪奇タクシー』上巻
森野達弥 一迅社 \700+税
(2014年9月27日発売)


理に適っていないものこそ怖さだといわれるが、理に適いすぎているものもまた怖い。つまりは因果応報というもので、自分のやった悪事は必ず自分にはね返ってくるという怖さ。
「カーマガジン ジャック」に連載されていた、車にまつわるさまざまな怪奇なできごとが物語られる連作シリーズを抜粋してまとめた『怪奇タクシー』(上下巻同時発売)は、読者を不思議で不気味な世界へ案内する。

たとえば、「呪いのナンバープレート」では、ひき逃げ事故を起こし、谷底に落ちていた車のナンバーを自分の車に貼り替えて雲隠れしてしまう男のエピソード。
その後、男はひとりの女性をヒッチハイクで車に乗せることになるが、彼女はひき逃げ事故で亡くなった亡者。そして彼女を引いた車のナンバーこそ、男がつけ替えた谷底の車のナンバー……ということで、男は結果として自分の罪は逃れても、他人の罪を背負うことになる。

まさに理に適った怖さのある本作だが、ペンタッチや構成で見せる、理に適っていない部分の怪奇演出の怖さもまた大きなポイントだ。なにしろ、作者は森野達弥。
森野といえば水木しげるの愛弟子で、現代の妖怪・怪奇マンガの第一人者。水木プロ在籍時に手がけていた『最新版 ゲゲゲの鬼太郎』や『地獄童子』を愛読していた人も多いだろう。

これぞ「水木節」という、おどろおどろしさも軽妙さもあるタッチとトーンをベースに、現代的なキャラクターや事象・風俗も取り入れ、水木ともまた異なる、独特の世界観を作りあげている森野達弥。今年は怪異復讐譚『もがりの首』も単行本化された、注目の漫画家だ。
毒っ気の利いた「違法駐車評論家」や少年の悲哀漂う「ストレス隧道の怪物」など、本作はバラエティ豊かなストリーテラーとしての森野の手腕も楽しむことができる。
『怪奇タクシー』はタイトルどおり、怪奇マンガのカテゴライズだが、水木を継ぐ「妖怪マンガ」の後継者としても、ますます今後に期待したい。



<文・渡辺水央>
マンガ・映画・アニメライター。編集を務める映画誌「ぴあMovie Special 2014 Autumn」が9月17日に発売に。『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』パンフも手掛けています。

単行本情報

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