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『ラフダイヤモンド まんが学校にようこそ』第1巻 緒方てい 【日刊マンガガイド】

2014/11/29


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『ラフダイヤモンド まんが学校にようこそ』第1巻
緒方てい 集英社 \400+税
(2014年11月4日発売)


本作は、マンガ専門学校を舞台とした青春群像劇である。

主人公の高槻勇斗は高校生ながら商業連載経験をもつ少年。プロだが若さゆえ迷いも多い。そんな彼がひょんなことからマンガ専門学校の講師に。
教え子は全員年上で、萌えを理解したい元ヤクザ、陰陽師の血をひく元OL、少女マンガ志望の女装男子……と個性豊かな顔ぶれ。人生経験はあるがマンガ創作は発展途上。
さらに1980年代に漫画家をしていた幽霊少女なんてのも飛び出してくる。少年ジャンプ黄金期のタフな視点を備えるが、知識に時代ズレがある。
このように強みと未熟さをもちあわせる面々が、各自のマンガ道を手探りしていくのだ。

キャラの履歴書作り、ペンの練習はカケアミで、など基礎技術も紹介されるが、第1巻の見どころは勇斗が初日の挨拶でプロとしてマンガを描く覚悟を生徒にぶつけるくだり。
彼は気負って、つい創作の苦しみばかり並べ立てる。
ネタ探しの苦労、感情を切り売りする辛さ、〆切り地獄。マンガ創作がいかに孤独で不安な作業か。生徒たちは意気消沈する。

だが!
もちろんそれらは知るべき現実であっても、現実のすべてではない。
幽霊少女に諭されて勇斗はハッと思い出す。
厳しい編集にネームを褒められた時、初めて献本が届いた時、ファンにサインを求められた時。そう、うれしいこともあったのだ。
彼が改めて言い直した言葉は、険しい山を登る足取りにたとえてすばらしく熱い励ましになっている。実際どういう言いまわしかはぜひその目で読んで確かめてほしい。

ひとの甘さを責めてシビアな覚悟を教える物語は世の中に必要だろう……が、シビアであることにも溺れず前へ進む活力を伝える物語は、より意義が深い。本作はまさにそういう作品だ。
作者の緒方ていは『キメラ』『人造人間カティサーク』『暁闇のヴォルフ』など力強いファンタジー/SFで親しまれており、その力強さは現実ベースの作劇でも健在である。

描き手・読者を問わず、ちょっとでもマンガが好きなら大いに元気がもらえる本作。
現在のジャンプ+連載作品のなかでとくに強くおすすめしたい。



<文・宮本直毅>
ライター。アニメや漫画、あと成人向けゲームについて寄稿する機会が多いです。著書にアダルトゲーム30年の歴史をまとめた『エロゲー文化研究概論』(総合科学出版)。『プリキュア』はSS、フレッシュ、ドキドキを愛好。
Twitter:@miyamo_7

単行本情報

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