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『賭ケグルイ』 第6巻 河本ほむら(作) 尚村透(画) 【日刊マンガガイド】

2017/03/27


日々発売される膨大なマンガのなかから、「このマンガがすごい!WEB」が厳選したマンガ作品の新刊レビュー!

今回紹介するのは、『賭ケグルイ』


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『賭ケグルイ』 第6巻
河本ほむら(作) 尚村透(画) スクウェア・エニックス ¥590+税
(2017年2月22日発売)


ギャンブルに身を焦がす美少女・蛇喰夢子(じゃばみ・ゆめこ)と、私立百花王学園の生徒会との対立が深まる一方で、生徒会長・桃喰綺羅莉(ももばみ・きらり)は、夢子と惹かれあう──。
そんな狂気と耽美によってピンと張りつめた緊張感は、最新刊も絶好調。

今回の夢子の対決相手となるのは、生徒会の書記を務める五十嵐清華(いがらし・さやか)。綺羅莉に心酔し、それゆえに夢子によって常軌を逸していく生徒会長と、崩壊していく生徒会にだれよりも心を痛めるのが彼女。
愛情、尊敬、嫉妬、憎悪……様々な感情が渦巻く今回のギャンブルは、なんと「クイズの塔」。
その大がかりなギミックもさることながら、賭けの対象となるのが、いわば「アイデンティティそのもの」ということに興味が惹かれる。

物語の序盤より、負けると取りかえしがつかないほどの金銭や社会的な地位を賭けたギャンブルが繰り返されてきた本作だが、自身の存在意義を賭けた勝負は、ある意味ではこれまででもっとも破滅的な勝負といえるだろう。
そして、多くの読者は清華の綺羅莉に対する届かぬ思いのほうに心揺さぶられるかもしれない。
勝って負けても、彼女にとっては残酷だと思えるギャンブル。その驚愕の結末は必見!

文字どおり百合の花園で展開する、美しすぎる狂乱の博戯(はくぎ)。最新巻の感想を端的にいうならば、「ごちそうさまでした」だろうか?

つまり、今回も最高です!



<文・大黒秀一>
主に「東映ヒーローMAX」などで特撮・エンタメ周辺記事を執筆中。過剰で過激な作風を好み、「大人の鑑賞に耐えうる」という言葉と観点を何よりも憎む。

単行本情報

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